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映画
映画『木枯し紋次郎』詳細解説──「あっしにはかかわりあいのないことでござんす」の残酷な意味
はじめに 1972年、テレビドラマ「木枯し紋次郎」が高視聴率を続け、橋幸夫による舞台化も実現するなど、紋次郎旋風が日本中を席巻していた。 そんな中、東映は数本の時代劇製作を決定し、中村錦之助や北大路欣也ら元東映スターを起用した企画と並行して、... -
映画
映画「敵」考察――筒井康隆が描く、老いという名の”見えない敵”
2025年1月17日、日本映画界に一つの異形が現れた。吉田大八監督による『敵』である。 筒井康隆の同名小説を映画化した本作は、第37回東京国際映画祭で東京グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞の三冠に輝き、公開前から注目を集めていた。だが、この映... -
ドラマ
『Xファイル』第2話「ディープ・スロート」——影から真実を囁く者、そして消された記憶
1993年9月17日。『Xファイル』第1話の放送からわずか1週間後、1,110万人のアメリカ人が再びテレビの前に座った。第2話「ディープ・スロート」——このエピソードは、シリーズ全体を貫く「神話」(ミソロジー)の礎を築いた、記念碑的な45分間だった。 あらすじ... -
ドラマ
『Xファイル』第1話「序章」——信じることと疑うことの間で揺れる、90年代の不安の結晶
1993年9月10日の夜、アメリカのテレビ画面に一つの革命が静かに始まった。『Xファイル』第1話「序章」。200万ドルの予算、バンクーバーの湿った森、そして1,200万人の視聴者。誰もがまだ気づいていなかった——これが21世紀のテレビドラマの原型になるという... -
映画
「座頭市鉄火旅」(1967)—— 仕込み杖の寿命が問いかける、宿命と再生の物語
はじめに:シリーズ第15作の位置 1967年1月3日、正月映画として封切られた『座頭市鉄火旅』は、座頭市シリーズ第15作である。既に14本の作品で観客を魅了してきたこのシリーズは、この第15作において、極めて重要なモチーフを導入する。それが「仕込み杖の... -
映画
1967年映画「夢は夜ひらく」徹底解説:園まりが魅せた日活歌謡映画の傑作
園まり主演の日活歌謡映画「夢は夜ひらく」は、1960年代日本映画の黄金期を象徴する作品である。 1966年にミリオンセラーとなった同名ヒット曲を映画化した本作は、高橋英樹、渡哲也という日活の二枚看板に加え、ザ・ドリフターズ全員が出演するという豪華... -
映画
「シェイクスピアは、もう成仏したんですよ」― 記憶に残る一本の台詞
深夜、店を閉めてひとり残った時間に、ふと思い出す映画の台詞がある。それは1997年に公開された『Lie Lie Lie』の中で、豊川悦司演じる詐欺師・相川が、テレビ討論会の場で放った一言だった。 「シェイクスピアは、もう成仏したんですよ」 この台詞を初め... -
ドラマ
「全部お見通しだ!」の爽快感と、救われない結末のビターな味。
2000年、ミレニアムに沸いたあの年の夏。金曜の深夜、ひっそりと始まった一本のドラマがある。その名は『TRICK』。自称・天才マジシャンの山田奈緒子と、自称・天才物理学者の上田次郎。奇妙で、どこか社会に馴染めない二人が、インチキ霊能力者たちの仕掛... -
映画・ドラマ・アニメ雑記
ヴェルヌが書かなかった殺人事件——『地底探検』(1959)はなぜ「敵」を必要としたのか
ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』を初めて読んだとき、私は驚いた。映画『地底探検』(1959)の印象が強烈だったからだ。映画では、物語の序盤で学者が何者かに殺害され、主人公たちも命を狙われる。緊迫したサスペンスが全編を貫く。ところが原作には、そ... -
日記・雑記
『美食探偵 明智五郎』が照らし出す、孤独と欲望のかたち
人は、何かを食べるとき、ほんのわずかに“弱さ”を見せる。『美食探偵 明智五郎』を見ていると、料理の美しさの裏側に、人間の脆い部分が静かに浮かび上がってくる。その弱さに寄り添うように、明智五郎は淡々と、しかしどこか寂しげに事件へと向き合うので...