ミステリー– tag –
-
短編「モノグラム」分析と読みどころ ─ 乱歩が描く記憶の罠
江戸川乱歩の短編小説「モノグラム」(1926年発表)は、わずか1万字余りの短編ながら、人間の記憶と認識の脆さを鋭く突く心理ミステリーの傑作である。本作は、血も涙もない猟奇的事件を扱う乱歩の代表作群とは一線を画し、日常の中に潜む心理的な謎と、そ... -
数式で紐解く事件の真相〜天才数学少女と刑事の凸凹バディが織りなす『ハードナッツ!』の魅力
2013年にNHKで放送され、数学と推理を融合させた画期的なドラマ「ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜」。橋本愛さんの連続ドラマ初主演作として話題を呼んだこの作品は、天才数学女子大生が難事件を数式で解決していくという、これまでにない切り口... -
芥川龍之介「妙な話」のあらすじと文学的考察【ネタバレあり】
1. はじめに 大正時代を代表する日本の作家、芥川龍之介(1892-1927)。彼はその短い生涯で、古今東西の文献から巧みに題材を得ながら、人間存在への鋭い洞察、洗練を極めた文章、そして知的な構成を特徴とする、数多くの珠玉の短編小説を世に送り出しまし... -
江戸川乱歩「一枚の切符」徹底解説:ネタバレあらすじと大正ミステリの深層
江戸川乱歩、初期の異色作「一枚の切符」が秘める射程 日本探偵小説の祖、江戸川乱歩。その輝かしいデビューは、1923年(大正12年)4月に雑誌『新青年』に掲載された「二銭銅貨」によって飾られた 。緻密な暗号解読を核とするこの本格探偵小説は、当時の読... -
江戸川乱歩「盗難」徹底解説:ネタバレあらすじと多重のどんでん返し、リドル・ストーリーの傑作たる所以
江戸川乱歩初期の隠れた傑作「盗難」 本稿では、1925年(大正14年)に発表された江戸川乱歩の短編小説「盗難」について、その詳細な情報、完全なネタバレを含むあらすじ、そして作品の核心に迫る文学的分析を網羅的に提供するものである。 「盗難」は、乱... -
【ネタバレ徹底解説】倉知淳『変奏曲・ABCの殺人』の巧妙なプロットと皮肉な結末を考察
倉知淳が奏でる「ABC」の変奏 倉知淳は、その巧妙なプロット構築と、ロジックとユーモアを絶妙に融合させる作風で知られる、現代日本ミステリ界でも特異な立ち位置を占める作家である。彼が手掛けた短編『変奏曲・ABCの殺人』は、その真骨頂を示す傑作とし... -
映画『本陣殺人事件』(1975)レビュー|ジーンズ姿の金田一と幻想ミステリーの世界へようこそ
ジーンズ姿で颯爽と現れる金田一耕助?高林陽一監督×ATGが贈る、幻想と狂気に満ちた異色の金田一ミステリー。1975年の名作『本陣殺人事件』を今あらためて紹介します。 作品情報 作品名(邦題/原題): 本陣殺人事件(The Honjin Murders) 公開年/制作... -
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』レビュー|あらすじ・ネタバレ考察・原作との違いを徹底解説
2024年1月に公開された映画『ある閉ざされた雪の山荘で』。ミステリーの巨匠・東野圭吾氏による原作小説は、その巧みなトリックから長年「映像化は不可能」と言われ続けてきました。この大きな壁に、重岡大毅さんを主演に迎え、飯塚健監督が挑んだ意欲作で...
1