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映画『本陣殺人事件』(1975)を徹底解説:中尾彬版金田一と高林陽一の映像美【ネタバレあり】
横溝正史ブームの先駆け、異色の金田一耕助映画 本作は、1976年の市川崑監督作『犬神家の一族』から本格化する横溝正史ブームの「先駆け」として位置づけられる極めて重要な作品である 。しかし、本作の価値は単にブーム前夜の作品という点に留まるもので... -
『クレスピ博士の犯罪』(1935)徹底解説:ネタバレあらすじ、ポー原作との比較、貧乏横丁が生んだカルトホラーの魅力
1935年の闇に葬られた狂気—『クレスピ博士の犯罪』再訪 1930年代のハリウッド映画は、華やかなメジャースタジオの作品群によって記憶されることが多い。しかし、その光の届かぬ「貧乏横丁(Poverty Row)」と呼ばれる低予算スタジオの暗がりでは、奇妙で、... -
映画『悪魔の人形』(1936)を徹底解説:ネタバレあらすじ、特殊撮影、トッド・ブラウニングの狂気が融合したカルト傑作の全貌
1936年の異色作『悪魔の人形』とは何か 本稿は、1936年にMGMが製作した、トッド・ブラウニング監督によるカルト的傑作『悪魔の人形』を徹底的に分析するものである。この映画は、復讐劇、マッドサイエンス、そして父性愛という複数のジャンルを奇妙に融合... -
嵐の夜の傑作:ジェームズ・ホエール監督『魔の家』(1932) の徹底解説とネタバレあらすじ
ジャンルを定義し、同時にパロディ化した失われた傑作 1932年に公開されたジェームズ・ホエール監督の映画『魔の家』(原題: The Old Dark House)は、ユニバーサル・ピクチャーズの黄金時代を象徴するホラー映画の金字塔である 。しかし、その本質は単純... -
『空飛ぶ生首』(1960)徹底解説:ネタバレあらすじとB級ホラーの傑作たる所以
衝撃的な邦題と野心的なB級映画 1960年に公開されたアメリカのホラー映画『Tormented』。この作品が日本で紹介される際に付けられた邦題は、一度聞いたら忘れられないほど衝撃的である。それは『空飛ぶ生首』という、極めて直接的で扇情的なタイトルであっ... -
映画『MWームウー』ネタバレ解説:原作との違いと結末、玉木宏の怪演を徹底分析
2009年に公開された映画『MWームウー』は、漫画の神様・手塚治虫が遺した作品群の中でも、その過激な内容から「禁断の問題作」「最大の禁忌(タブー)」と称されるピカレスク・ロマン『MW』の実写化である 。本稿では、この野心的な作品を徹底的に分析する... -
映画史の金字塔『メトロポリス』(1927)のすべて:ネタバレあらすじ、テーマ、後世への影響を徹底解説
なぜ1927年の『メトロポリス』は今なお語り継がれるのか 本稿の目的は、フリッツ・ラング監督による1927年のサイレント映画『メトロポリス』を、あらゆる角度から徹底的に解剖することである。単なる映画紹介にとどまらず、その物語、テーマ、製作背景、技... -
【ネタバレ徹底解説】映画『ある閉ざされた雪の山荘で』の三重構造トリックと結末を考察|原作との違いから「役者の業」まで
東野圭吾の「映像化不可能」ミステリー、スクリーンへ 2024年1月12日に公開された映画『ある閉ざされた雪の山荘で』は、日本を代表するミステリー作家・東野圭吾が1992年に発表した同名の傑作小説を原作とするサスペンス・エンターテインメントである 。原... -
執事の毒舌、警部の迷走、そしてディナーのあとで:ドラマ「謎解きはディナーのあとで」の構造的魅力を徹底解剖
東川篤哉による同名のベストセラー小説を原作とした、フジテレビ系ドラマ「謎解きはディナーのあとで」は、単なる人気ミステリードラマという枠を超え、一個の文化的アイコンとして、放送から10年以上が経過した現在でも多くの人々の記憶に鮮明に刻まれて... -
映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』徹底解説:ネタバレあらすじ、テーマ分析から興行的失敗の真相まで
2024年、アポロ計画の“噂”を巡る物語 2024年に公開された映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は、人類史における最も偉大な達成の一つであるアポロ11号の月面着陸を背景に、歴史的事実、ロマンティック・コメディ、そして20世紀で最も根強い陰謀論の一...