約100年も前に作られた一本の白黒サイレント映画が、今なお世界中のクリエイターに影響を与え続け、現代社会が抱える問題を予見していたとしたら、信じられるでしょうか。今回ご紹介するフリッツ・ラング監督の『メトロポリス』(1927年)は、まさにそんな驚異的な作品です。
「SF映画の原点にして頂点」と称される本作ですが、その魅力は単なる古典的名作という言葉だけでは語り尽くせません。天を突く摩天楼、人間と見分けのつかないアンドロイド、そして極端に分断された格差社会。その圧倒的なビジュアルと物語は、後の『ブレードランナー』や『スター・ウォーズ』といった数々の名作の源流となりました。

しかし、本当に驚くべきは、そのテーマの普遍性です。AIと人間の関係、テクノロジーによる非人間化、富裕層と貧困層の対立、そして大衆扇動の危険性――。これらはすべて、21世紀を生きる私たちが直面している問題と不気味なほどに重なります。
この記事では、『メトロポリス』をまだ観たことがない方のために、まずはネタバレなしであらすじや見どころを分かりやすくご紹介します。「どんな映画か知ってから観たい」という方は、ぜひ参考にしてください。
そして、すでに鑑賞済みの方や、物語の核心に触れる深い考察を読みたい方のために、記事の後半では【ネタバレあり】のセクションを設けています。そこでは、物語の結末や象徴的なシーンの解釈、そして本作が投げかける根源的な問いについて、徹底的に掘り下げていきます。
100年の時を超えて輝きを放ち続ける映画史の金字塔。その世界の扉を、一緒に開いてみませんか?
作品情報と予告編
項目 | 詳細 |
作品名 | メトロポリス (Metropolis) |
公開年 | 1927年 |
制作国 | ドイツ |
監督 | フリッツ・ラング |
脚本 | テア・フォン・ハルボウ |
キャスト | ブリギッテ・ヘルム、グスタフ・フレーリッヒ、アルフレート・アーベル 他 |
あらすじ(※ネタバレなし)

物語の舞台は、西暦2026年の巨大未来都市メトロポリス。摩天楼がそびえ立ち、航空機が飛び交うこの都市は、科学技術の粋を集めた文明の頂点に見えます。
しかしその実態は、二つの世界に完璧に分断されていました。
地上は、支配者階級の知識人や資本家たちが、美しい庭園やスタジアムで優雅に暮らす「楽園」。
一方、地下深くには、都市の全機能を支える巨大な機械群があり、そこでは労働者階級の人々が、まるで機械の部品のように過酷な労働を強いられていました。

この都市の絶対的支配者ジョー・フレーダーセンの息子であるフレーダーは、地上の楽園しか知らず、何不自由ない生活を送っていました。しかしある日、彼の前に、労働者の子供たちを連れた一人の清らかな女性、マリアが現れます。

「見よ、これ汝らの兄弟なり」
マリアのその言葉と姿に心を奪われたフレーダーは、彼女の面影を追って、初めて地下世界へと足を踏み入れます。そこで彼が目にしたのは、労働者たちが人間性を奪われ、都市の繁栄のために犠牲にされているという、想像を絶する光景でした。

自分の見てきた世界がいかに歪んでいたかを知ったフレーダー。父である支配者に惨状を訴えますが、冷たく一蹴されてしまいます。運命の女性マリアとの出会いをきっかけに、分断された世界の真実を知ったフレーダーは、この歪んだ世界を変えるため、行動を開始するのでした。
見どころ・注目ポイント
圧巻の映像美!ドイツ表現主義が作り出した未来都市
本作を語る上で、まず触れなければならないのが、その圧倒的な映像表現です。公開が1927年であることを考えると、にわかには信じがたいほどの未来都市のビジュアルは、今見ても全く色褪せません。この独創的な世界観は、「ドイツ表現主義」という当時の芸術運動の大きな影響下にあります。

これは、現実をありのままに描くのではなく、登場人物の不安や恐怖といった内面的な感情を、歪んだセットや極端な光と影のコントラストで表現する手法です。そびえ立つ摩天楼の威圧感や、労働者たちの画一的で機械的な動きは、まさに機械文明に対する人々の畏怖や疎外感を視覚化したものと言えるでしょう。このビジュアルは、後のディストピア作品の「お手本」となり、多くのクリエイターにインスピレーションを与え続けています。
個性豊かなキャラクターと俳優の熱演
サイレント映画である本作は、セリフの代わりに俳優の表情や身体表現が物語を動かします。主人公フレーダーは、当初は世間知らずの若者ですが、マリアとの出会いや地下世界の惨状を通して、社会の矛盾に目覚め、成長していきます。その葛藤を演じるグスタフ・フレーリッヒの姿は、観る者の心を打ちます。

そして何より強烈な印象を残すのが、ブリギッテ・ヘルムが一人二役で演じたマリアです。労働者たちに希望を説く慈愛に満ちた「聖女」の姿と、後に登場する人々を扇動し破滅へと導く妖艶な「機械人間」の姿。この両極端なキャラクターを見事に演じ分けた彼女の表現力は、本作の大きな見どころの一つです。
物語を奏でる音楽と画期的な特撮技術

『メトロポリス』はサイレント映画ですが、ゴットフリート・フッペルツによる壮大なオーケストラスコアが、作品に深みと迫力を与えています。
特定の登場人物や感情に固有のメロディ(ライトモティーフ)を割り当てる手法は、セリフのない映像に雄弁な意味を与え、観客の感情を巧みに誘導します。
また、この壮大な都市景観を実現したのが「シュフタン・プロセス」という画期的な特撮技術です。これは鏡の反射を利用して、俳優の演技と精巧なミニチュアモデルを同時に撮影する手法で、CGのない時代に、驚くほどリアルで奥行きのある映像を生み出しました。こうした技術的な挑戦も、本作が映画史の金字塔と呼ばれる所以なのです。
100年前の社会不安が現代に問いかけるもの
本作が生まれた1920年代のドイツは、第一次世界大戦の敗戦による政治的・経済的な大混乱の最中にありました。急激な工業化、深刻なインフレ、そして広がる格差社会。そうした社会不安が、本作の「支配者 vs 労働者」という対立構造や、機械に支配される人間というテーマに色濃く反映されています。
しかし、これは決して過去の物語ではありません。富が一極集中し、AIが人間の仕事を代替するかもしれない現代社会において、『メトロポリス』が描いたディストピアは、より一層のリアリティをもって私たちに迫ってきます。時代を超えて社会を映し出す鏡として、本作は今こそ観るべき価値があると言えるでしょう。
気になった点・課題
これほどの名作にも、手放しで称賛しづらい点が存在します。それは、物語の結末が提示するメッセージです。
ネタバレを避けて言うと、本作は最終的に支配者と労働者の「和解」を描きます。しかし、その解決策は「頭脳(支配者)と手(労働者)は、心によって結ばれなければならない」という、やや観念的でナイーブな理想論に着地します。
労働者たちが強いられてきた過酷な労働環境や、搾取という根本的な社会構造の問題が具体的にどう解決されるのかは描かれません。そのため、観る人によっては「握手だけで全てが解決するなんて、ご都合主義ではないか」と感じるかもしれません。
脚本を担当したテア・フォン・ハルボウ(監督の妻)は、後にナチスに傾倒した人物であり、この「階級闘争の否定」と「国民の団結」を促すような結末には、当時の政治的なイデオロギーが反映されているという批判もあります。監督自身もこの結末には不満だったと伝えられており、単純なハッピーエンドとして受け取るには、少し注意が必要な部分と言えるでしょう。
監督フリッツ・ラングについて
本作を理解する上で、監督であるフリッツ・ラング(1890-1976)の人物像に触れておくことは非常に有益です。オーストリア・ウィーン生まれのラングは、ドイツ表現主義を代表する映画監督であり、その緻密な映像美と社会に対する鋭い洞察力で知られています。

ドイツ時代には本作『メトロポリス』や、世界初のサイコ・スリラーとも言われる『M』(1931)といった傑作を世に送り出しました。しかし、ナチスが台頭すると彼の運命は大きく変わります。ナチスの宣伝大臣ゲッベルスから映画界の指導的地位を打診されたものの、それを拒否してドイツを脱出。当時、本作の脚本家でもあった妻のテア・フォン・ハルボウがナチスに傾倒していったこととの思想的な決別も、彼の亡命を後押ししたと言われています。

その後、アメリカのハリウッドに渡ったラングは、フィルム・ノワールや西部劇の分野で再びその才能を発揮し、『飾窓の女』(1944)や『復讐は俺に任せろ』(1953)といった名作を監督しました。彼の作品に一貫して流れる運命論的な世界観や、人間の心の闇を描き出す演出は、後世の多くの映画監督に影響を与え続けています。
⚠️ この先は物語の核心に触れるネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
ネタバレあり|物語の展開と深掘り考察

さて、ここからは物語の結末までを含めた上で、本作のテーマをさらに深く掘り下げていきましょう。
物語の結末までの展開
地下世界の惨状を知ったフレーダー。一方、彼の父である支配者フレーダーセンは、労働者たちの間で預言者のように慕われるマリアの存在を危険視します。彼は旧友である狂気の発明家ロートヴァングに、マリアと瓜二つのアンドロイド、すなわち「機械人間(マシーネンメンシュ)」の製造を命じます。その目的は、偽のマリアを使って労働者たちを扇動し、彼らの団結を内部から崩壊させることでした。

ロートヴァングは本物のマリアを誘拐し、その姿と生命力をロボットに転写。こうして誕生した偽マリアは、まず地上の支配階級の男たちの前で扇情的なダンスを披露し、彼らを狂乱させます。その後、地下の労働者たちの前に現れると、本物のマリアとは正反対に、過激な革命を扇動。「機械を破壊せよ!」と叫び、労働者たちの怒りを煽ります。
偽マリアに扇動された労働者たちは暴徒と化し、都市の心臓部である「ハートマシン」を破壊。しかし、その結果、自分たちが住む地下都市が洪水に見舞われ、子供たちが取り残されてしまいます。
その頃、本物のマリアはフレーダーと共に子供たちを救出。一方、自分たちの子供が死んだと思い込んだ労働者たちは、扇動者である偽マリアを「魔女」として火あぶりにします。
炎の中で偽マリアの肉体が溶け、金属の骨格が現れたことで、彼らは初めて騙されていたことに気づくのです。

全ての騒乱が終わり、支配者フレーダーセンと労働者の代表が対峙します。両者の間には深い溝が横たわり、握手を交わそうとしません。その時、フレーダーが「媒介者」として二人の間に立ち、彼らの手を取り持たせます。こうして、頭脳(支配者)と手(労働者)は、心(フレーダーの愛と共感)によって結びつけられ、物語は幕を閉じます。
テーマとメッセージの読み解き
『メトロポリス』が投げかけるテーマは非常に多層的ですが、その核心は有名なキャッチコピー「頭脳と手の媒介者は、心でなくてはならない」にあります。しかし、この一見シンプルなメッセージの裏には、聖書的な象徴、テクノロジーへの警鐘、そして登場人物たちの個人的なドラマが複雑に絡み合っています。
聖書的モチーフの再解釈
本作は、物語の骨格に聖書的な象徴を巧みに組み込んでいます。最も中心的なのが、マリアが労働者たちに語る「バベルの塔」の物語です。聖書では、人間の傲慢さに対する神の罰として塔の建設が失敗しますが、本作ではその原因を「頭脳(設計者)と手(建設者)が、同じ言葉を話していたのに互いを理解できなかったから」という、階級間のコミュニケーション不全に置き換えています。これにより、物語は神学的な問題から、メトロポリスが抱える社会的な問題へと巧みにスライドします。

さらに、偽マリアの存在は新約聖書の「ヨハネの黙示録」から多くのイメージを借用しています。彼女が支配階級の前で披露する扇情的なダンスは、堕落と破滅を象徴する「バビロンの大淫婦」そのものです。彼女の扇動によって都市が破壊される様は、まさに世界の終末を描く黙示録的なビジョンと言えるでしょう。

加えて、本物のマリアは子供たちを慈しむ「聖母マリア」を、そして父(支配者)と人々(労働者)の間を取り持つフレーダーは「キリスト」的な媒介者の役割を担っています。彼が労働者の身代わりとなって巨大な時計型の機械に繋がれ、苦悶するシーンは、キリストの受難を強く暗示しています。
テクノロジーの光と影、そして個人的な確執
本作のもう一つの重要なテーマは、テクノロジーの二面性です。そして、その鍵を握るのが発明家ロートヴァングと、彼と支配者フレーダーセンの間にあった個人的な確執です。この背景は、長らく失われたフィルムが2010年に復元されたことで、初めて明らかになりました。

かつて、ロートヴァングとフレーダーセンは「ヘル」という一人の女性を愛していました。しかしヘルはフレーダーセンを選び、息子フレーダーを産んだ後に亡くなります。この失われた愛を取り戻すため、ロートヴァングはヘルの姿をしたアンドロイドを造ろうとしていました。それが、機械人間(マシーネンメンシュ)の本来の目的だったのです。
つまり、ロートヴァングの行動は単なるマッドサイエンティストの狂気ではなく、フレーダーセンへの復讐心と歪んだ愛に根差しています。フレーダーセンが偽マリアの製作を依頼したとき、彼はそれを復讐の好機と捉え、社会全体を混乱に陥れようと画策したのです。この個人的なドラマが、階級闘争という大きな物語に複雑な深みを与えています。テクノロジーは、ロートヴァングの悪意によって、社会を破壊する恐ろしい凶器へと変貌してしまったのです。
失われたフィルムの数奇な運命
『メトロポリス』は、その芸術的な価値とは裏腹に、公開直後からフィルムが切り刻まれるという不運な歴史を辿りました。私たちが現在観ることができるバージョンは、長年にわたる奇跡的な発見と、執念の復元作業の賜物なのです。
オリジナル版の消失と「ズタズタにされた」バージョン
1927年にベルリンで初公開されたオリジナル版の上映時間は、実に153分にも及ぶ大作でした。しかし、その長大さが商業的な成功を妨げると判断され、公開後まもなくフィルムは大幅にカットされてしまいます。特にアメリカ公開版では、物語の奥行きを与えていた重要なサブプロット(支配者と発明家の過去の因縁など)が次々と削除され、単純な恋愛物語へと作り変えられてしまいました。監督のフリッツ・ラングは、この改変に激怒し、自作が「ズタズタにされた」と嘆いたと伝えられています。
長きにわたる復元の試み
第二次世界大戦後、本作の歴史的重要性が再認識されると、世界中のフィルムアーカイブに散在する断片を繋ぎ合わせ、オリジナル版の姿を取り戻そうという、気の遠くなるような復元作業が始まりました。様々な「復元版」が作られましたが、それでも映画全体の約4分の1は失われたままだと考えられていました。
奇跡的な発見と「完全復元版」の誕生
もはや完全な復元は不可能かと思われた2008年、映画史を揺るがす奇跡が起こります。アルゼンチンのブエノスアイレスで、長年失われていた約25分ものシーンを含むフィルムコピーが発見されたのです。この発見に基づき、大規模な修復プロジェクトが開始され、2010年、ついに150分に及ぶ「完全復元版」が完成しました。これにより、登場人物の動機や物語の複雑な構造が、公開から83年の時を経て、初めてほぼ完全な形で観客の前に姿を現したのです。
バージョン名/年代 | 上映時間 | 主な特徴 |
オリジナル・プレミア版 (1927) | 153分 | ラング監督の意図したバージョン。しかしすぐに失われる。 |
パラマウント米国公開版 (1927) | 約107分 | 大幅にカットされ、物語が単純化されたバージョン。 |
2001年修復版 | 約124分 | デジタル修復されたが、多くのシーンが欠落。 |
2010年完全復元版 | 150分 | アルゼンチンでの発見により、ほぼ完全な姿を取り戻した現存最長版。 |
後世への計り知れない影響
『メトロポリス』がその後のSF作品、映画、ポップカルチャー全般に与えた影響は計り知れません。その影響は、ビジュアルデザインの模倣にとどまらず、物語のテーマ性の継承にまで及んでいます。
『ブレードランナー』への影響

リドリー・スコット監督の傑作『ブレードランナー』(1982)は、『メトロポリス』から最も色濃い影響を受けた作品の一つです。天を覆う超高層ビル群、富裕層と貧困層に分断された社会、そして「人間とは何か」を問う人造人間のテーマなど、視覚的にもテーマ的にも多くの共通点が見られます。
『スター・ウォーズ』への影響

ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』(1977)にも、その影響は明確です。特に人気ドロイドC-3POのデザインは、『メトロポリス』の機械人間マシーネンメンシュから直接的なインスピレーションを得ており、その類似性は一目瞭然です。映画史上最も有名なロボットの一つのルーツが、半世紀も前のドイツ映画にあるという事実は、本作の偉大さを物語っています。
その他の作品への影響

日本の漫画の神様、手塚治虫も本作に衝撃を受けた一人で、初期SF作品にその影響が色濃く見られます。また、イギリスのロックバンド、クイーンの楽曲「Radio Ga Ga」のミュージックビデオに本作の映像が使用されたことで、映画ファン以外の層にも広く知られるようになりました。本作が確立した「マッドサイエンティスト」像やディストピアのビジュアルは、今なお多くのクリエイターに参照され続けているのです。
この映画をおすすめしたい人
- 全てのSF映画ファン(『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』『AKIRA』などが好きな方は、その源流を発見できます)
- 映画史に興味がある方(サイレント映画やドイツ表現主義の最高傑作の一つとして必見です)
- ディストピア作品や社会派ドラマが好きな方(格差社会やテクノロジーといったテーマに深く考えさせられます)
- アート、建築、デザインに興味がある方(その独創的なビジュアルは、今なお多くのインスピレーションを与えてくれます)
まとめ・総評
フリッツ・ラング監督の『メトロポリス』は、単なる古い映画ではありません。それは、約100年前に作られたにもかかわらず、現代社会を鋭く映し出す「鏡」のような作品です。
圧巻の映像美で描かれる未来都市、人間とAIの関係を予見したかのような物語、そして今なお色褪せない普遍的なテーマ。その全てが、本作を映画史における不朽の金字塔たらしめています。
もちろん、サイレント映画という形式や、一部の展開に時代を感じる部分はあるかもしれません。しかし、それらを乗り越えて、本作が投げかける「心なき進歩の果てにあるものは何か?」という問いは、テクノロジーと共に生きる私たち全員が向き合うべき重要なメッセージです。SFの原点に触れたい方も、深い思索を促す映画を求めている方も、ぜひこの機会にご覧になってはいかがでしょうか。間違いなく、あなたの心に長く残り続ける映画体験となるはずです。
English Summary
Metropolis (1927) – Full Review, Synopsis & Analysis
TL;DR
Metropolis (1927), directed by Fritz Lang, is a silent German expressionist science fiction classic. The film portrays a dystopian city divided between elite planners and oppressed workers, and explores themes of class conflict, technology, identity, and the mediating role of compassion. Though nearly a century old, its visual grandeur and thematic depth continue to resonate in modern cinema and society.
Background and Context
Released in Germany in 1927, Metropolis was co-written by Lang and Thea von Harbou. It stands as a landmark in film history, pioneering techniques like miniatures, expressionist set design, and the Schüfftan process (mirror composites). The film’s production and restoration history are as legendary as its story: over the years, many scenes were lost, but a major 2008 discovery in Argentina helped create an almost complete version by 2010.
Plot Summary (No Spoilers)
Set in a futuristic city in 2026, Metropolis is visually divided into two worlds: the luxurious city above and the industrial underworld below. Freder, the son of the city’s ruler Joh Fredersen, lives in privilege until he encounters Maria, a saintly figure speaking for the workers. Inspired, Freder descends into the workers’ realm and witnesses their brutal exploitation. Fredersen, threatened by unrest, commissions inventor Rotwang to create a robotic double of Maria to foment chaos. Chaos erupts as the robot Maria incites rebellion. In the finale, Freder becomes a mediator between classes, embodying “mind” and “hands” united by “heart.”
Key Themes and Concepts
- Class Division and Social Conflict — The stark separation between rulers and workers: exploration of inequality, alienation, and exploitation.
- Technology vs. Humanity — The dehumanizing potential of machines, and how technology can be used to control, or to liberate.
- Mediation & Reconciliation — Central motto: “The mediator between the brain and hands must be the heart,” arguing for empathy bridging social divisions.
- Mythic & Symbolic Motifs — The film draws on biblical symbolism (Maria, the tower of Babel), mythic structures, and allegory to deepen its message.
Spoiler Section & Analysis
Fredersen recruits inventor Rotwang to build a mechanical replica of Maria (the machine-Maria), intending to manipulate the workers’ uprising. The robot impersonates Maria, stirring chaos and violence underground. The workers destroy the city’s central heart machine, leading to flooding. Freder and real Maria rescue trapped children. In the climax, Freder intercedes as a “mediator” between Fredersen and a worker leader; their handshake, brokered by him, symbolizes reconciliation between mind and labor. The ambiguous “unity” resolution has been critiqued as naive or ideological, particularly given the author von Harbou’s later political affiliations.
Also, the film’s restoration history matters: many early versions were heavily truncated, losing critical subplots and political nuance. The 2010 “almost full” restoration reintroduced much of the original narrative complexity, including the backstory between Fredersen and Rotwang, and deeper thematic resonance.
Conclusion
Metropolis (1927) remains one of cinema’s foundational works—not merely for its visual innovation, but for its ongoing relevance. Its depiction of class tension, the dangers of mechanized society, and the need for human empathy echo in today’s world of inequality and technological transformation. While some may find its idealistic ending problematic, the film’s ambition and imagery continue to inspire generations of filmmakers and thinkers.
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