フロンティア・クロニクル【第7話】プレーオフ第2戦──闇が晴れるとき、光は二つ現れる

目次

Ⅰ. ミストフォールの朝──捜索続行

カムデン・クライン失踪から二日目。
ミストフォール署は夜通しの捜索を続け、JASTICEから応援に来ていた
巡査部長のカルロス“CJ”ジョーダンら3人 が森の旧参道を歩いていた。

深い霧はまだ地面に残り、足跡は途中から消えている。
しかし CJ はふと、斜面の先に微かな土の乱れと、ちぎれた枝葉の跡を見つけた。

「……足を滑らせた跡じゃない。誰かに“引きずられた”……?」

その直後だった。

木々の隙間から、震えながら座り込む一人の影が顔を上げた。

「……CJ?」

「カムデン!」
CJ は駆け寄り、肩をつかんで無事を確かめる。カムデンのユニフォームは破れ、手には擦り傷。
しかし意識ははっきりしていた。

「……参道で、見たんだ。ネメシスの連中が……何か仕掛けてた。声をかけたら追われて……気づいたらここに」

カムデンは必死に説明しようとするが、呼吸が荒い。

「もういい、今は話さなくていい。助かったんだ。行くぞ」

CJ は無線で救助を要請し、二人は森を出ていった。


Ⅱ. プレーオフ第2戦──静と熱の落差

同じ頃、ブルーホーン・スタジアムでは
王者決定戦:Fresh Hellions vs Grimcats 第2戦 が始まろうとしていた。

グリムキャッツの選手たちは、前夜に判明した “紫の影” の痕跡、
そしてカムデン失踪の不安を引きずったまま試合に臨んでいた。

一方、Fresh Hellions は違った。
前日のヒーロー Kahua Real は余裕の笑みを浮かべ、打撃練習で軽々と柵越えを連発。


Ⅲ. 試合展開──決着のとき

6回裏──均衡を破る再びの“23番”
スコアは0-0で進んでいた。
しかし6回、ランナー二人を置いてKahua Real が打席に立つ。

初球、内角スライダー。
Kahuaは絶妙な体重移動で迎え撃ち――

カキィィィン!!!

打球は高く舞い、右中間スタンドへ吸い込まれた。

2日連続の3ランホームラン。

スタジアムは揺れ、FH は一気に3点を先制。

8回裏──トドメの3点
Grimcatsは流れを取り戻せず、さらに3失点して 0-6。

8回表──意地の1点
しかし8回、ようやくグリムキャッツの打線が反応した。
Bean の二塁打から Montoya がタイムリー。1-6。

9回表──最後の灯
9回には Norwest がソロHR を放ち、2-6。

しかし反撃もここまでだった。

Fresh Hellions が2連勝で 初代リーグ王者 に輝いた。


Ⅳ. その頃、病院にて──エースの帰還

試合の終盤。
捜索班からリーグ運営本部に一本の連絡が入る。

「カムデン・クライン、保護。怪我は軽傷」

その瞬間、スタジアムにいた誰もが息をついた。

試合後、決勝戦を観戦していた監督と数名のチームメイトが病院へ駆けつける。
ベッドの上で点滴を受けているカムデンは、やせたが笑っていた。

「心配かけたな……」

「無事でよかった。それだけで十分だ」

そしてカムデンは、声を落として言った。

「……ネメシスは、ミストウォールで起きた大規模停電の“第2段階”を準備していた。
俺が参道で見てしまった。気づかれ、捕まって……でも運良く逃げられた」

「また……ネメシスか」

Grimcats は、かつてネメシスと因縁があった。
その過去は、次第にチームの中心選手たちによって語られ始める。


Ⅴ. そして、オフの動き──三者三様の補強戦線

◎ Fresh Hellions

優勝の勢いそのままに、
リーグ屈指のパワーヒッターをFAで獲得
連覇体制を築きにかかる。

◎ Grimcats

リーグ戦首位だった誇りを胸に、
最下位Jasticeからベテラン内野手をトレードで獲得。
優勝トロフィーを逃した悔しさを胸に、次の大枚に向けに強力な布陣を形成する計画だ。

◎ Jastice


FA協会からのトレード申請を受け、もう一人を交換することに・・・。
まさかのトップ2脱退で、次の大会はどうなるのか・・・


Ⅵ. 第8話への予告──物語はいったん幕を閉じる

次回、第8話では――

  • カムデン失踪事件の背景
  • ネメシスの妨害計画が頓挫した真相
  • Grimcats に眠る“過去の因縁”
  • そして、レギュラーシーズン第2章に向けた序章

この物語は、一つの区切りを迎える。

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