成熟した傑作、OVA版『ブラック・ジャック』
1993年からリリースが開始されたオリジナル・ビデオ・アニメーション(OVA)シリーズ『ブラック・ジャック』は、手塚治虫が生み出した不朽の名作に、新たな生命を吹き込んだ作品群である。数あるアニメ化作品の中でも、このOVAシリーズは一線を画す存在として知られている。その理由は、対象年齢を明確に大人に設定し、原作の持つ人間ドラマの深みや社会の暗部を、より写実的かつ重厚なトーンで描いた点にある 。テレビ放送の制約から解放されたOVAというフォーマットの特性を最大限に活かし、潤沢な予算と自由な表現を追求した、まさに90年代OVA黄金期の産物と言えるであろう。
そのシリーズ第二作目にあたるのが、今回深く掘り下げる『Karte2 葬列遊戯』である 。このエピソードは、原作の特定のエピソードを直接映像化したものではなく、完全なオリジナルストーリーとして構築されている 。これにより、監督である出﨑統をはじめとする制作陣は、自らの作家性を存分に発揮し、ハードボイルドなミステリーとして、自己完結した完成度の高い物語を紡ぎ出すことに成功した。
本作が制作された1993年という時代背景は、この物語を理解する上で極めて重要な文脈を提供する。日本がバブル経済の熱狂から醒め、後に「失われた10年」と呼ばれることになる長期的な停滞期へと足を踏み入れた時期である。物語に漂う通奏低音のようなメランコリー、薬物に蝕まれ破滅へと向かう若者たちの姿、そして自らの利益のために医療倫理を放棄した腐敗した権威(梅谷院長)の存在は、当時の日本社会が抱えていた先行きの見えない不安や、価値観の崩壊に対する幻滅を色濃く反映しているかのようである 。本作は、単なる医療サスペンスに留まらず、一つの時代の終わりと、その後に続く「葬列」の始まりを告げる、痛切な時代批評としても読み解くことができるのである。
物語の登場人物
『葬列遊戯』の悲劇は、限られた登場人物たちの濃密な関係性によって駆動される。それぞれが物語の中で特有の役割を担い、ハードボイルドなドラマを形成する上で不可欠な存在である。豪華声優陣による卓越した演技が、キャラクターに深みと生命感を与えている点も特筆すべきであろう 。
ブラック・ジャック (Black Jack)
神業的なメスさばきを誇る無免許の天才外科医。本作では、単なる医者としてだけでなく、事件の真相を追う探偵、そして自らの倫理観に基づいて悪を断罪する復讐者の側面を強く見せる。彼の行動は常に法を超越し、その動機は高額な報酬要求の裏に隠された複雑な道徳観に根差している。声優は、その後のシリーズでもBJを象徴する声となる大塚明夫が務める 。
藤波 里枝 (Fujinami Rie)
物語の中心に立つ悲劇のヒロイン。札幌の雪景色の中、友人たちと無邪気にスケートを楽しむごく普通の高校生として登場するが、ブラック・ジャックとの再会を機に、その人生が深い闇に覆われていることが明らかになる。彼女の純粋さと絶望の間の揺れ動きが、物語の感動的な核心を担う。声優は、数々の複雑なヒロインを演じてきた林原めぐみが担当し、その繊細な感情の機微を見事に表現している 。
梅谷 時雄 (Umetani Tokio)
物語の主要な敵役。亡き父から病院を継いだ二代目の院長でありながら、医療への情熱を失い、モータースポーツに現を抜かす放蕩息子。その裏では麻薬組織と結託し、自らの土地を麻薬植物の栽培に提供するという、医者としてあるまじき罪を犯している。彼は、社会における制度的な腐敗と道徳の崩壊を象徴する存在である。声優は関俊彦が務める 。
高杉警部 (Inspector Takasugi)
法の執行者。ブラック・ジャックとは旧知の仲であり、彼が無免許医であることを知りながらも、その腕前と人間性には一定の理解を示す。札幌で多発する少年少女の不審死と薬物汚染の関連を追う、経験豊富な刑事。彼の捜査によって、物語の背後にある巨大な犯罪の構図が解き明かされていく。声優は、ベテランの羽佐間道夫が担当している 。
主要登場人物と担当声優
登場人物(日本語) | 登場人物(ローマ字) | 担当声優 |
ブラック・ジャック | Black Jack | 大塚明夫 (Akio Otsuka) |
藤波 里枝 | Fujinami Rie | 林原めぐみ (Megumi Hayashibara) |
梅谷 時雄 | Umetani Tokio | 関俊彦 (Toshihiko Seki) |
高杉警部 | Takasugi Keibu | 羽佐間道夫 (Michio Hazama) |
井上 弓子 | Inoue Yuko | 荒木香恵 (Kae Araki) |
中島 ユキ | Nakajima Yuki | 松本梨香 (Rica Matsumoto) |
後藤 香 | Goto Kaori | 岡村明美 (Akemi Okamura) |
あらすじ(ネタバレあり):『葬列遊戯』の全貌
本作の物語は、偶然の出会いから始まり、やがて巨大な陰謀と悲劇の連鎖へと観る者を引きずり込んでいく。その全貌を、物語の進行に沿って詳述する。
第一章:雪の街、偶然の出会いと不吉な再会
物語は、雪まつりで賑わう冬の札幌(作中ではS市)から幕を開ける。凍てついた噴水で楽しげにスケートに興じる四人の高校生の少女たち。その中の一人、藤波里枝に、出張帰りのブラック・ジャック(BJ)が空港への道を尋ねたのが、全ての始まりであった。
道を教えた直後、里枝は転倒し、額から血を流す。BJは彼女を自身の車の後部座席で手際よく応急処置し、数針縫合する。その際、BJが見せた予期せぬ優しさと、「一年もすれば必ず消える」という言葉に、里枝は心を動かされ、彼の顔の傷にそっと触れる。「優しいんだね」という彼女の言葉は、二人の間に生まれた束の間の、しかし確かな絆を象徴していた。

半年後、乗り継ぎのために再び札幌を訪れたBJは、機内で警視庁の高杉警部と偶然再会する。高杉は、市内で蔓延する少年少女向けの薬物事件を追って出張に来ていた。空港へ戻ろうとするBJの前に、あの藤波里枝が姿を現す。半年前と同じ公園の噴水前で、彼女は「あなたを待ってたの!」と真剣な、どこか切羽詰まった表情で告げる。
喫茶店で語られる現実は、BJの想像を絶するものであった。再会を喜ぶ里枝であったが、BJが他の仲間たちの安否を尋ねると、その表情は一気に曇る。彼女は二ヶ月もの間、毎日この公園でBJを待ち続けていたのだと告白する。
その理由は、仲間の一人、井上弓子が二ヶ月前に仙人岳の吊り橋から落下し、植物状態に陥っているためであった。誰もが匙を投げた弓子の治療を、BJに託したい一心での行動だった。そして里枝は、戦慄すべき事実を口にする。「もうこれ以上、友達に死んでほしくない」。もう一人の友人、中島ユキは三ヶ月前に轢き逃げで死亡。最後の一人、後藤香もその十日後に地下鉄に飛び込み、命を絶っていた。かつて四人で笑い合っていた少女たちのグループは、わずか数ヶ月で崩壊していたのである。
第二章:疑惑の病院と葬列の部屋
里枝の悲痛な願いを受け入れたBJは、井上弓子が入院する梅谷病院を訪れる。院長の梅谷時雄は、病院経営を疎かにして趣味のモータースポーツに没頭する男であった。BJは時雄の不在を突き、弓子の尿と血液を無断で採取し分析する。その結果、カルテには記載のない、ある異常な植物由来の成分を検出する 。
BJはこの事実を武器に、時雄に脅迫をかける。「自分に弓子のオペをさせろ。報酬は5000万円。それが嫌なら、この検査結果を公表する」。時雄はBJの正体を知らぬまま、自らの秘密を守るために不本意ながらも要求を呑む。

手術が決まったことを知った里枝は心から喜び、BJへの憧れと信頼を一層深める。しかしその夜、BJと別れて帰宅した彼女のマンションの一室は、異様な光景を呈していた。部屋には夥しい数の白い葬列用の花が飾られ、亡くなったユキと香の遺影が置かれている。まるで、友人の死を悼む儀式を延々と続けているかのようであった。

そして里枝は「寒い」と呟きながら震え出し、部屋の隅にあったサボテンの鋭い針を、自らの手のひらで強く握りしめる。常人であれば激痛を伴うはずの行為にもかかわらず、彼女は「暖かい」と安堵の表情を浮かべるのだった。この常軌を逸した行動は、彼女が抱える秘密の深さを暗示していた。
その頃、BJが滞在するホテルを高杉警部が訪れる。彼は弓子の手術について、病院側からの依頼か、BJからの申し出かだけを問い、意味深な言葉を残して去っていく。
第三章:暴かれる陰謀とペルートの呪い
翌日の夜から始まった弓子の手術は、翌朝まで及ぶ大手術となったが、BJの神業によって見事成功する。三日後には集中治療室を出るまでに回復した弓子であったが、記憶に障害が残っているのか、時折うわ言のように不可解な言葉を呟いた。「パーティーには…白い花を飾りましょう…」。その言葉は、里枝の部屋の光景と不気味に共鳴していた。
それまで毎日見舞いに来ていた里枝が、五日間も姿を見せないことを不審に思ったBJは、彼女のマンションを訪れる。そこで彼が目にしたのは、枯れたサボテンを両手に抱きしめ、激しい麻薬の禁断症状に苦しみ悶える里枝の姿だった。
BJは高杉警部を呼び、枯れたサボテンを突きつける。「これはペルートと呼ばれる麻薬植物だ。あんたが追っていたのはこれだろ?」。全ての謎が、一本の線で繋がった瞬間であった。ペルートは、仙人岳で秘密裏に栽培されていた麻薬植物であり、卒業旅行でそこを訪れた里枝たち四人は、偶然その栽培現場に足を踏み入れ、その植物に触れてしまっていたのだ 。

高杉警部の捜査によれば、ユキの轢き逃げと香の自殺は、いずれも事故に見せかけた口封じのための殺人であった。そして、里枝と弓子も、吊り橋に細工を施されて殺されかけたのである。一連の事件の背後には、南米系の麻薬組織が存在し、その組織に土地を提供していたのが、他ならぬ梅谷時雄であった 。
BJは再び時雄の前に現れ、全ての真相を突きつける。「5000万円はやめて、50億にする」。BJの怒りは、単なる金銭欲ではなく、少女たちの青春を奪い、命を弄んだ悪に対する正義の鉄槌であった。しかしその時、麻薬組織の人間が現れ、BJと時雄は共に捕らえられてしまう。BJは麻薬を注射され、意識が朦朧とする中、納屋に閉じ込められ火を放たれる。絶体絶命の危機の中、BJは自らの脛にメスを突き立てて激痛で意識を覚醒させると 、時雄を担いで炎上する納屋から脱出し、九死に一生を得るのだった。
第四章:「偶然は三度は起こらない」
事件が解決し、BJが札幌を去る日。空港のロビーで飛行機を待つ彼の元に、すっかり元気を取り戻した里枝が駆けつける。彼女はまっすぐにBJを見つめ、問いかける。 「あの…あの…、また会えますか?」 BJは冷たく突き放すように答える。 「偶然は三度は起こらない」 その言葉に、里枝は悲しみを隠して健気に微笑む。「そうだよね…」。しかし、BJは言葉を続ける。 「今まではそうだった」 そう言うと、彼は身をかがめ、半年前、初めて出会った日に自分が縫合した里枝の額の傷跡に、そっとキスをする。
それは、医者として、そして一人の人間として彼女に贈る、最大限の優しさと別れのジェスチャーであった。偶然から始まった二人の関係は、三度目の奇跡を約束することなく、しかし確かな温もりを残して、静かに幕を閉じた。
深層考察:作品に込められた三つのテーマ
『葬列遊戯』が単なるサスペンスドラマを超えた深みを持つのは、その物語の背後に、普遍的かつ時代性を帯びた複数のテーマが織り込まれているからである。ここでは、作品の核心をなす三つのテーマについて考察する。
4.1. 失われた青春と時代の闇
本作は、一つの世代の「青春の終わり」を描いた、極めて痛切な寓話として解釈できる。物語の冒頭で描かれる四人の少女たちの姿は、バブル期の残滓がまだ残る時代の、屈託のない若者の象徴である 。彼女たちのスケート遊びや卒業旅行の計画は、未来への希望と自由なエネルギーに満ち溢れている。それは、いわば「遊戯(ゲーム)」としての青春であった。
しかし、彼女たちが仙人岳で麻薬植物という「社会の闇」に偶然触れてしまった瞬間、その牧歌的な「遊戯」は終わりを告げる。この遭遇は、無垢な世界への、冷酷で暴力的な現実の侵犯を意味する。その結果として訪れるのは、友人の死、殺人、薬物依存という、あまりにも過酷な現実である。彼女たちの友情と未来は、外部からの悪意によって無残にも破壊され尽くす。
このプロセスは、80年代の楽観主義が終焉を迎え、90年代の経済的・社会的な閉塞感へと移行していった日本の姿と重なる。かつて当たり前であったはずの明るさや陽気さが、もはや異常なものとして映る時代の転換期 。少女たちの悲劇は、一個人の物語に留まらず、一つの時代の終わりそのものを象徴する「葬列」なのである。タイトルにある「遊戯」が「葬列」へと強制的に転換させられる物語構造そのものが、このテーマを力強く描き出している。
4.2. ブラック・ジャックの倫理観と「ブラックボックス」
本作におけるブラック・ジャックの人物像は、その複雑な倫理観と内面の強さを浮き彫りにする。彼は里枝に対して純粋な優しさを見せる一方で、目的のためには梅谷院長を躊躇なく脅迫するという、法を超越した行動を取る 。この「情け深い救済者」と「冷酷な現実主義者」という二面性は、ブラック・ジャックというキャラクターの根幹をなす魅力であり、彼の行動原理が単純な善悪二元論では測れないことを示している。
この物語で特に重要なのは、終盤で描かれるBJの内面描写である。麻薬組織に捕らえられ、強力な麻薬を注射された彼は、里枝たちを破滅させたのと同じ危機に直面する。快楽の中に意識が溶けていく感覚の中で、彼は自らの内面をこう語る。
「そこでわたしは、快楽に溶けていくもう一人の自分に語りかけた。大丈夫、わたしのなかにはこんなものには負けない部分がある。絶望や死を何度も超えた、ブラックボックスがあるんだぞ、と。そのブラックボックスが私に命令する。ここで降りてはいけない」 。
この「ブラックボックス」こそが、BJと少女たちを分かつ決定的な差異である。過去に幾度となく死の淵を彷徨い、絶望を乗り越えてきた経験によって形成された、彼の精神的な核。それは、苦難を知らず、脆い幸福の中に生きてきた少女たちには備わっていなかったものである。だからこそ、少女たちは薬物の誘惑に抗えずに崩れ落ち、BJは自らの意志の力でそれを克服できた。
この「ブラックボックス」は、彼の強さの源泉であると同時に、彼を常人から隔絶する孤独の証でもある。彼は闇の中にいる人々を救うことができるが、それは彼自身が、その闇の本質を誰よりも深く知る住人だからなのである。
4.3. 「葬列」と「遊戯」の対比
本作のタイトル『葬列遊戯』は、単に物語の内容を示すだけでなく、作品全体のテーマと構造を凝縮した、極めて優れた命名である。この二つの対照的な単語の関係性を読み解くことが、物語の核心に迫る鍵となる。
物語の始まりは、紛れもなく「遊戯」である。凍った噴水でのスケート、友人同士のたわいない会話、未来への期待。これらは全て、若さという特権に与えられた、人生の楽しい「ゲーム」の一場面だ。彼女たちが仙人岳へ向かったのも、この「遊戯」の延長線上にあった。
しかし、その「遊戯」は、意図せずして死を招き寄せる。結果として、二人の友人のための文字通りの「葬列」が執り行われることになる。さらに深刻なのは、里枝の部屋の光景である。夥しい白い花と遺影に囲まれた彼女の部屋は、終わることのない私的な「葬列」の空間そのものである。彼女は、失われた「遊戯」の時間を悼み、自らを「葬列」の中に閉じ込めてしまったのだ。
物語全体が、無邪気な「遊戯」が、いかにして逃れられない「葬列」へと変貌していくかを描くプロセスであると言える。このタイトルは、物語の結末を暗示するだけでなく、無垢が経験によって穢され、生が死の影に覆われていくという、この物語の根源的な悲劇性を的確に表現しているのである。
結論:なぜ『葬列遊戯』は傑作たりえるのか
『ブラック・ジャック OVA Karte2 葬列遊戯』が、発表から長い年月を経た今なお、多くのファンの記憶に残り、傑作として語り継がれる理由は、単一の要素に帰結するものではない。それは、練り上げられた物語、心に残る登場人物、時代を映し出すテーマ、そしてそれら全てを昇華させる映像表現という、アニメーションを構成するあらゆる要素が、奇跡的な高次元で融合した結果である。
第一に、自己完結したミステリーとして、極めて完成度の高い物語構造を持つ点が挙げられる。偶然の出会いから始まり、散りばめられた謎が一本の線に収束していく脚本は、観る者を一瞬たりとも飽きさせない。
第二に、藤波里枝という悲劇のヒロインの存在が大きい。彼女の純粋さが、社会の悪意によって無残に踏みにじられていく過程は、観る者の胸を強く打ち、物語に忘れがたい感動と余韻を与えている 。
第三に、失われた青春、大人の世界の腐敗、そして極限状況における人間の倫理といった、成熟したテーマを真正面から描いている点である 。これらのテーマは普遍性を持ち、現代の我々にも多くの問いを投げかける。
しかし、これら全ての要素をまとめ上げ、本作を唯一無二の作品たらしめているのは、紛れもなく監督・出﨑統のマスタークラスの演出である。彼の持つ独特の映像言語は、物語の持つ悲劇性と美しさを最大限に引き出し、単なる「アニメ」の枠を超えた、一個の「映画作品」としての風格を与えている 。
『葬列遊戯』は、OVAというメディアが最も輝いていた時代の、芸術的な到達点の一つである。それは、熟練の職人たちの手によって生み出された、ダークで、美しく、そしてどこまでも切ない、アニメーションという表現媒体の可能性を示す力強い証左と言えるだろう。雪の街に散った少女たちの魂の鎮魂歌(レクイエム)として、この作品はこれからも色褪せることなく輝き続けるに違いない。
Funeral Procession Game: A Deep Dive into the Black Jack OVA Masterpiece
TL;DR:
This in-depth analysis explores Black Jack OVA: Karte 2 – Funeral Procession Game, a chilling original episode from the 1993 OVA series. It examines the tragic fate of four girls entangled in a drug conspiracy, the complex morality of Black Jack, and the directorial brilliance of Osamu Dezaki.
Background and Context:
Released during Japan’s post-bubble era, the OVA Black Jack: Funeral Procession Game reflects a society in moral decline. As an original story in the Black Jack universe, it leverages the freedom of the OVA format to present a mature, haunting tale that resonates with the anxieties of the early 1990s.
Plot Summary:
Set in a snow-covered Sapporo, the story follows Black Jack as he reconnects with a high school girl named Rie, only to uncover a string of mysterious deaths among her friends. As he investigates, Black Jack reveals a hidden drug network tied to a corrupt hospital and its director. With intense surgeries, murder coverups, and psychological unraveling, the story escalates toward a fiery showdown between justice and systemic evil.
Key Themes and Concepts:
- The Collapse of Youthful Innocence: The four girls’ carefree days turn to horror after stumbling upon a drug farm.
- Black Jack’s Dual Morality: He acts as both savior and punisher, guided by a personal moral code.
- Dezaki’s Visual Poetics: Use of techniques like Harmony shots, split screens, and transmitted light enhances emotional depth.
- “Funeral” vs. “Game”: The title encapsulates the fall from playful youth into a requiem for a lost generation.
Differences from the Manga:
Unlike other episodes based on Tezuka’s original stories, this one is a completely original plot. It expands the Black Jack mythos by placing him in a noir-like mystery with social critique and psychological weight, something rarely explored in the manga with this intensity.
Conclusion:
Funeral Procession Game is not just a medical thriller—it’s a postmodern requiem. It showcases the synergy of powerful storytelling, social commentary, and visual artistry, making it a definitive masterpiece of the OVA era and an enduring chapter in the Black Jack legacy.
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