「蝿男の恐怖」あらすじとネタバレ 蝿と同化した男の悲しき決断

SF(洋画)

蝿と一緒に転送され、蠅男となってしまった男と、その妻の苦悩。そして衝撃のラスト。

アメリカでクラシックホラー映画の第一人者といわれているヴィンセント・プライス主演のSFホラー作品です。

 

「蠅男の恐怖」作品紹介

監督:カート・ニューマン

脚本:ジェームス・クラヴェル

原作:ジョルジュ・ランジュラン「蝿」

制作:カート・ニューマン

主演:ヴィンセント・プライス / パトリシア・オーウェンズ / アル・ヘディソン 他

公開:1958年7月16日(アメリカ) / 日本未公開

 

 

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「蠅男の恐怖」あらすじとネタバレ

ドランブル兄弟が経営する工場の夜警ガストンは、見回り中に何やら機械が動いている音を聞く。

音の方向へ行ってみるとプレス機を操作している女性が逃げていった。そしてそのブレス機は頭と腕を潰された男性の死体があった。

フランソワに電話がかかってくる、それは弟アンドレの妻エレーヌからだった。

エレーヌはアンドレを殺したことを告白し泣きながら助けてほしいとフランソワに伝える。

ガストンからも電話がかかり、ことの重大さに気がついたフランソワは知り合いのシャラス警部と連絡を取る。

現場に駆けつけたフランソワはブレス機が2回動かされていることに気づく。

エレーヌは落ち着きはらっていた。そして改めて自分がアンドレを殺したと告白する。

しかしブレス機に頭と腕を乗せたのはアンドレ本人で、ブレス機を操作したのは自分だと言う。

何故かと聞かれても理由を答えないエレーヌ。

そんな時、エレーヌは近くで飛んでいた蝿にえらく執着する。止まっている蝿を見てがっかりした様子のエレーヌ。

シャラス警部はアンドレの研究室を見せて欲しいとフランソワに頼む。

研究室に入ると20万ドルもする装置がメチャクチャになっていた。それが何に使うものなのか、兄のフランソワも知らされていなかった。空軍からの依頼で何かの研究をしていたとしかわからなかった。

とりあえず警察の監視下に置かれることになったエレーヌ。蝿が飛んできたので叩き殺そうとした看護婦に「やめて、殺さないで」と激しく言うが、蝿は死んでしまう。エレーヌは半狂乱になり、「その蝿をみせて」 とせがんだ。蝿をみて、力が抜けて泣き出すエレーヌ。

フランソワはエレーヌの息子のフィリップと食事をしている際に、母親のエレーヌが蝿を探していることを教えてもらうフランソワ。その蝿は頭が白く、足が変わっているそうで、その蝿をフィリップが見つけたというのだ。そしてその蝿をはじめて見たのはアンドレがいなくなった日だということを教えられる。

フランソワは看護婦に、「シャラス警部から許可を得た」と嘘をつき、エレーヌに会う。

エレーヌから「 蝿は何日位生きられるのか」と聞かれ、1,2ヶ月と答えるフランソワ。フランソワはエレーヌに「探している蝿を捕まえた」と嘘をつく。

アンドレを殺した理由を再度聞いたフランソワに、エレーヌは「シャラス警部を呼んでほしい」と言い、捕まえた蝿を殺すことを条件にエレーヌは2人の前で話し始める。

蝿への変貌

数ヶ月前、研究室に閉じこもっていたアンドレは、エレーヌを嬉しそうに研究室に連れてくる。

そこにはドアを隔てて2つのボックス型の装置があり、皿を片方のボックスに入れ、機械を動かすと、ドアを隔てたもう一つのボックスへ皿が転送される。つまり皿が瞬間移動したのだった。

それを見たエレーヌは歴史的な大発明だと喜ぶ。しかし皿に書いてあった文字が逆になっており、アンドレはさらに研究を続けるべく、また研究室に閉じこもるようになる。

その後、新聞紙で実験し、それの転送に成功したアンドレ。そこにたまたまやってきた飼い猫のダンデロを実験台にする。しかし転送先には何もなく、ダンデロは原子の状態で物質化されなかった。

バレエを見に行ったあと、エレーヌの前でシャンパンを転送してみせるアンドレ。

ついでにモルモットを転送してこれも成功する。1ヶ月副作用がなかったら発表するといい、さらにダンデロでは失敗したことを告白する。エレーヌに二度と動物で実験しないでほしいとお願いされる。

ある日、フランソワが遊びにやってくる。エレーヌがアンドレに知らせようとしたが、研究室には立入禁止の張り紙がされていた。そんな時、息子のフィリップが頭の白い珍しいハエを見つけたと言ってきた。エレーヌはかわいそうだから逃がすように言う。

その夜、使用人から夕食を研究室の前に置いても食べていないことを報告され、心配になったエレーヌは研究室前に行く。そこには一枚の紙が置いてあり、「まずいことになった。手伝ってほしい、命にかかわることだ、聞くことはできても話すことができないから、指示通りにしてくれ」と書いてあった。

とりあえず注文されたラム酒入りのミルクを持ってくると、それを机の上において、頭の白いハエを探してほしいと紙に書いてあった。研究室に入ると、アンドレは黒い頭巾をかぶり、左手はポケットに入れ、何も話さなかった。ただ机を叩いて ”はい、いいえ” という表現方法で会話した。

その時アンドレはつい左手を見せてしまう。その左手はまるで昆虫の触手のような手をしており、エレーヌは驚いて叫んでしまう。エレーヌを急いで研究室から出したアンドレは「朝になったら話す」と書いた紙を研究室の前に置いた。

蝿を探して・・・

翌朝、朝食を持ってくるエレーヌ。そこで手紙を渡され、「人体実験した際にハエが紛れ込んで原子が混ざってしまった、そのハエを見つければ元に戻るかもしれないから探してくれ」と書いてあった。

エレーヌは部屋の中で白い頭の蝿を見つけるが外に逃がしてしまい、ひどく落胆する。

その夜、夕食を持っていった際に蝿が捕まらなかったことをアンドレに伝えると、アンドレはその場で紙にタイプしながら、理性が効かなくなってきている不安を綴る。

以前に皿で実験したように、アンドレ自身で転送してみようと提案するエレーヌ。

そして転送が始まる。

転送が終わり、エレーヌが頭巾を取ると、アンドレの頭部は蝿だった!

エレーヌはあまりのショックで叫んだあとに気絶する。

数分後、目が覚めたエレーヌはアンドレが装置を壊し、研究資料を燃やしているところを見る。

黒板に「もう仕方ない 手伝ってくれ あのハエも殺してくれ LOVE YOU」と書く。

そしてアンドレは自らプレス機に入り、エレーヌはボタンを押した。しかしアンドレの左手だけが理性に反して潰されなかったため、エレーヌは潰れた顔を見ないように左手をプレス機において、もう一回ボタンを押した・・・

アンドレの末路

エレーヌの話を信じられないと言うシャラス警部に「話の筋は通っている」と答えるフランソワ。

逮捕しても精神錯乱で一生病院暮らしだろうというシャラス警部から「もし白い頭の蝿を見つけたら信じる」と言われるフランスワ。

外に出てベンチに座っていたフランソワの近くには蜘蛛の巣があり、そこには頭の白い蝿が糸に絡まって動けなくなっていた。そこからわずかに聞こえる「助けてくれ」の声。

フランスワには空耳にしか聞こえていなかった。そこにシャラス警部が逮捕状を持って再びやってくる。

エレーヌは逮捕状を持ってきたシャラス警部に驚き、蝿が実は捕まっていないことを知る。

そこにフィリップがやってきて白い蝿が蜘蛛の巣で動けなくなっていることを知る。フランソワとシャラス警部が蜘蛛の巣を見ると、頭がアンドレの蝿が蜘蛛に食べられる寸前だった。

蜘蛛がアンドレに覆いかぶさったその時、シャラス警部は近くにある石で蜘蛛の巣を潰してしまう。

「どうせ誰も信じない」と話すシャラス警部に「君も殺人を犯した」と脅すフランスワ。

結局アンドレは自殺したことになり、エレーヌは普通の生活にもどった。

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「蠅男の恐怖」感想

まだカラーになって間もないころの作品のため、「総天然色」と言わんばかりのビビットな色使い、しかしながらそれが逆に古めかしく、一層怖さを引き立てる映像になっています。。

初めに蠅男がプレス機で潰されて、なぜその経緯になったのかを回顧していくところは、ただ時系列どおりに進めていくのが主流のホラー映画ではあまり見かけません。

ラストでシャラス警部が蝿と蜘蛛を石で潰します。

アンドレの変わり果てた姿を見たからか、蜘蛛に食べられるのがしのびなくなったのか、それとも蠅男の存在を認めたくなかったのか・・・

結局、友人として、そしてフランソワのエレーヌへの想いを汲んで自殺ということにしたのだと思います。それが一番丸く収める、唯一の方法だったのでしょう。

 

この作品には「蝿男の逆襲」と「蝿男の呪い」という2本の続編がつくられています。これは次回以降に紹介します。

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