「海底超特急マリンエクスプレス」あらすじとネタバレ 手塚治虫のキャラクターたちが大集合したミステリーロマン

TVアニメ(国内)

手塚先生のキャラクターたちが敵味方に分かれて対決するミステリーロマン

1979年に日本テレビ系列で放送された「24時間テレビ・愛は地球を救う」の中で流れたアニメスペシャルです。

YouTubeにて(2019年8月23日時点)手塚プロダクション公式チャンネルにて期間限定配信されていました。

原作は手塚治虫であり、「スターシステム」という手塚アニメに出てきたキャラクターたちが一斉に登場した作品となっています。

「海底超特急マリン・エクスプレス」作品紹介

原作・総監督・総指揮:手塚治虫

監督:出崎哲

音楽:大野雄二

制作:日本テレビ / 手塚プロダクション

放送日:1979年8月26日

 

 

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登場人物

伴俊作(ヒゲオヤジ)・・・私立探偵

ブラックジャック・・・凄腕であるが法外な治療費を請求する医師

ナーゼンコップ博士(お茶の水博士)・・・マリン・エクスプレスの設計者

ロック・ナーゼンコップ(ロック)・・・マリン・エクスプレスの運転手でナーゼンコップ博士の養子

アダム・ナーゼンコップ(アトム)・・・ナーゼンコップ博士が造った人間型ロボット

 

レッド・クレジット(レッド公)・・・アメリカ国務長官でマリン・エクスプレスを推進した人物

ミルドレッド・クレジット(通称ミリー)・・・クレジットの娘

スカンク(スカンク草井)/ランプ(アセチレン・ランプ)・・・クレジットの部下

丸首文三(丸首ブーン)・・・日本の建設大臣

大口(ハムエッグ)・・・日本の建設省政務次官

佐々木小次郎・・・刀を常に持っている丸首のボディガード

サファイア・・・ムー帝国の女王

 

シャラク(写楽保介)・・・クリプトリプトン星からムー帝国にやってきた宇宙人

ドンドラ(ドン・ドラキュラ)・・・ムー帝国の宰相だったが、後にシャラクに寝返る。

スクルージ・シャイロック(フランケンシュタイン)・・・海底鉄道建設公団の理事長

 

「海底超特急マリン・エクスプレス」あらすじ

AD2002年のカリフォルニア。

私立探偵の伴俊作は、海底鉄道道路公団・理事長のスクルージ・シャイロックからある依頼を受けていた。シャイロックは武器密輸組織の秘密を握っていて狙われていた。

シャイロックの屋敷で彼の死体を発見する伴。その直後、死体は見る見るうちに溶けて失くなってしまう。屋敷から何者かが逃げていくのを追う伴。1人は捕まえたものの、もうひとりの犯人に頭を殴られて気絶し、2人とも逃げられてしまう。

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ブラックジャックとの出会い

病室で気がついた伴。治療したブラックジャックから500万円の治療費を請求され、あまりに法外な値段に口論となる。その最中、テレビではマリン・エクスプレスの試運転のニュースが流れていた。

マリン・エクスプレスは試運転としてロサンゼルスから途中の島々(ポリネシアのマルケサス島、メラネシアのサモア島、ミクロネシアのポナペ島)を経由、東京までの約25000キロ、40時間をかけて太平洋の海底を走破するというものであった。

その列車に乗り込もうとしている人物(スカンク)が、犯人の1人だと覚えていた伴は急いで駅に向かう。ブラックジャックはもともとシャイロックの主治医だったことで真相が気になっていたこと、そしてなにより是が非でも治療費をもらうために伴についていった。

マリン・エクスプレスの乗客たち

なんとかマリン・エクスプレスに乗り込んだ伴とブラックジャック。そこに乗っていた乗客はすべてダミー(人形)であった。

それ以外にはアメリカ国務長官のクレジットとその娘ミリー。日本の建設大臣の丸首、その取り巻きの大口と佐々木。ナーゼンコップ博士、アダム、ロックの親子。そしてスカンクともう一人の犯人が乗っていた。

ナーゼンコップ博士はあることで思い悩んでいた。そこにやってきた一人の給仕(ランプ)はそばにいたアダムに飲み物を差し出すが、何故かナーゼンコップ博士は激怒する。その様子からランプはアダムが人間ではないと察知する。(ランプもスカンク同様、シャイロックを殺した犯人の一人)

ロックは運転席に乗り込み、いよいよマリン・エクスプレスがゆっくりと走り出す。

マリン・エクスプレスが出発して、伴は列車内で日本の建設省政務次官の大口が死んでいるところを発見する。急いで運転席のロックに知らせるが、またしても死体が溶けて失くなっていたため、ロックは「見間違いでしょう!」と言って相手にしなかった。

ナーゼンコップ博士の目的

ナーゼンコップ博士は運転席に行き、自分がマウイ族でポリネシア出身者であること、クレジットと一緒に海底開発の研究をしていたこと、そして白人至上主義者のクレジットの命令で海底超特急を造ったものの、海を汚していることに後悔していることをロックに話す。

これ以上の開発を止めるために、次の経由地(マルケサス島)で乗客を降ろし、この列車を破壊するというナーゼンコップ博士。反対するロックはナーゼンコップ博士を運転席から追い出す。

その頃、アダムはクレジットの娘のミリーと知り合い、仲良くなっていった。そしてアダムは自分がロボットであることを告白する。

マルケサス島にて、クレジットはCIAにナーゼンコップ博士の捕縛を命令する。しかしナーゼンコップ博士は逃走の際に崖から落ちて瀕死の重傷を負ってしまう。

死んだと思い込み、落ち込むロックに話しかける小人。その小人は人間と同じ大きさになり、自分はムー帝国の女王だと名乗る。

かつてマルケサス島はムー帝国だったが、宇宙からの侵略者のせいで滅亡したことをロックに話す。そしてこのまま海を汚し続ければ、同じように島に住む人々も滅んでしまうだろうと忠告する。

しかしロックは父親であるナーゼンコップ博士の偉業、そして自分の使命を果たすため、「絶対に海底超特急の開発をやめさせない!」と言い放つ。

すると女王は「またお会いしましょう」と言って消えてしまう。

一億円の手術

ナーゼンコップ博士は植物状態だったが、ブラックジャックは「1億円払えば助けてやる」と言い出す。丸首大臣は法外な値段に腹を立てながらも「なんとか助けてほしい」と懇願する。ブラックジャックは手術中、列車を動かさないことを条件に出す。

クレジットはスカンクに命令し、スカンクとランプはロックに列車を発車させるように銃で脅す。

すでにナーゼンコップ博士の手術が始まっていたため、列車の出発を拒否するロックだったが、列車の計器を次々と壊されたため、仕方なくサポートロボットのデューイに発車を指令する。発車した後にロックは気絶させられるが、そこに丸首の取り巻きである佐々木が乗り込み、スカンクとランプを殴り飛ばす。しかしスカンクに溶解銃を撃ち込まれ、佐々木は溶けて消えてしまう。

そんな状況の中であっても、ブラックジャックは手術を継続する。

一方アダムは以前からナーゼンコップ博士から指令を受けていたかのように運転席に入っていった。スカンクが銃で攻撃するもロボットのアダムには効かず、自分が放った銃が運転席のガラスを破り、スカンクは列車外へ放り出されて死亡する。

ロックは目を覚まし、急いでガラスを補修。アダムに礼を言うが、アダムはコンピューター室に入り込み、「24時間後に爆発するから、次の駅で絶対に降りて!」とロックに告げる。その後、アダムと連絡が取れなくなり、アダムに操られたデューイによってロックは運転席から追い出されてしまう。

武器密売の真相

その状況下で伴は、クレジットがアメリカで開発された溶解銃をアジアに横流しするために、乗客であるダミー人形の中に溶解銃を大量に隠していることを突き止める。

伴がクレジットにそれを問いただすと、クレジットは逆に溶解銃を伴に向ける。万事休すの伴だったが、その場にミリーが入ってきて「パパは悪い人じゃないよね?パパが人を殺したらミリー家出しちゃう!」とその場で泣かれたクレジットはその涙を見て銃を捨てる。

そこにロックが入ってきて、アダムによって列車が乗っ取られたことを知らされる一同。ナーゼンコップ博士の手術が成功し、アダムを止めさせることを期待しつつ、サモア島で爆発物処理班を乗り込ませてアダムを排除しようとする。しかしアダムに妨害され失敗に終わる。

サモア島を出発して、もう止まらない列車の中で絶望する一同の前にブラックジャックが現れる。「手術は成功したが、半日は麻酔で目が覚めないぜ!」というブラックジャック。しかし列車爆発までは12時間を切っていた。

気が動転した丸首は、ポナペ島に近づいていたために「ここで降りる、皆さんサヨウナラ」と言って列車の窓ガラスを溶解銃で壊す。しかしスカンクと同じように列車の外へ放り出されて死亡する。

ナーゼンコップ博士が意識を取り戻し、「列車の屋根からつたって運転席に行くしかない」と教えられたロックとクレジットは2人で列車の屋根に上る。その際にクレジットは溶解銃で開けた天井の破片にあたって吹き飛ばされ、死亡する。

タイムスリップ

なんとか運転席にたどり着いたロックだったが、回路が壊されており、とても時間内に修理できる状況ではなかった。ミリーは父親が亡くなったショックで伴の胸で泣きじゃくるが、運転席への道が開けたためにアダムを説得しに行く。

伴はミリーの涙が、ただの塩水だと気づく。ミリーは数年前に大事故に遭い、体の大部分が機械で置き換えられていた。その設計図がクレジットのカバンから見つかっていた。

ミリーはアダムと交信し、アダムがコンピューター室から出てくる。喜んだロックだったが、その直後に空間が歪み始め、気がつくと列車はムー帝国にたどり着いていた。

そこに宰相のドンドラがやってきて「新しい王の元へお連れいたします」と言ってくる。連れて行かれた場所にはシャラクという男がおり、彼が新しい王となっていた。(シャラクがタイムスリップ装置を作り、それを作動させたためマリン・エクスプレスはタイムスリップしたと考えられる)

謁見後、「ゆっくりくつろぐが良い!」いうシャラクだったが、結局は軟禁状態になってしまう。そこに空飛ぶライオンのレオ(ジャングル大帝のレオ)に乗ったムー帝国の女王・サファイアが現れる。

サファイアからシャラクが宇宙から来た侵略者であり、ムー帝国を乗っ取ろうとしていること、そしてマリン・エクスプレスを研究し、利用しようとしていることを聞かされる。

夜の宴会にて、ロックたちはシャラクに殺されるかもしれないという恐怖感を味わい警戒するものの何事もなく、海岸で一時のくつろぎを許される。

そこにある石垣に「500 B.J」と掘るブラックジャック。(500万円の治療費の請求書代わり)

 

そこで数体のモアイ像(ジャンプしながら踏み潰そうとする)に襲われたロックたち。しかしレオに助けられて女王の別荘に運ばれる。

 

結末

ロックは僅かな兵士を率いてシャラクが率いる大軍に挑むが、シャラクの念力でサファイアの別荘が攻撃を受ける。

その頃アダムは単身、マリン・エクスプレスに乗り込み自爆する。列車内にはベッドに横たわっていたナーゼンコップと、それを人質にしてナイフを構えるシャラクもいたが、2人とも死亡する。

ロックはサファイアと一緒にムー帝国に残ることを決め、ミリーはロックの妹として生きていくことを決める。ブラックジャックは負傷した兵士たちを直してから現代に戻ると決め、伴だけがタイムスリップ装置で現代に戻ってくる。

近くの島にたどり着いた伴はこれまでの出来事を話す。マリン・エクスプレスは事故で乗客全員が死んだことになっており、海底列車の開発は無期延期となっていた。そしてムー帝国の話も誰も信じてくれなかった。

すっかり気落ちして、自分は夢を見ていたのではないか、みんな死んでしまって頭がおかしくなってしまったのではないかとも考え始める伴。

しかし海岸にあった石垣に掘られていた「500 B.J」の文字を見つけ、嬉し泣きする伴であった。

「海底超特急マリン・エクスプレス」感想

まだ小学生だった自分が、毎年「24時間テレビ」で唯一楽しみにしていたアニメスペシャル。しかしはっきりと見た記憶があったのがこの作品でした。漫画でしか見たことなかったキャラクターたちが大挙して出ていることに、かなり興奮したことを覚えています。

そしてほぼ列車内で起こるお話は、1974年に公開されテレビでも見たことがあった「オリエント急行殺人事件」のようでドキドキワクワクさせられました。

ブラックジャックに関してですが、近年は「ブラックジャック」がTVシリーズやOVAなどで拝見できるので驚きませんでしたが、アニメで動いているのはこの作品が初めてだったのではないでしょうか?

ブラックジャックをよく読んでいた私にとっては、彼のイメージが崩れていなかったのでとても楽しめました。

もともとこのお話は、手塚治虫さんがイースター島へ旅行し、そのときのイメージから持ち上がった企画だったそうです。

当初はマリンエクスプレスよりも後半のムー帝国での冒険が中心の作品になるはずでしたが、それを含めると放送時間が2時間を超えてしまうため、海底列車内でのサスペンスを前面に押し出した内容となったそうです。

そして手塚治虫さんはムー帝国の冒険を加えたリメイクを劇場版として制作しようとしていたが実現しませんでした。

改めて手塚治虫さんのアニメを見ましたが、構成や物語の展開などは「巨匠」と言われるだけのことはあるのだと、ただただ感心させられました。

 

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