「めまい」あらすじとネタバレ キム・ノヴァクの淑女で純粋な悪女の演技は必見。

ミステリー(洋画)

今回は巨匠アルフレッド・ヒッチコックの数ある作品の中でも、

傑作との呼び声が高い「めまい」を紹介していきます。

「めまい」作品情報

監督:アルフレッド・ヒッチコック

脚本:アレック・コペル / サミュエル・テイラー

原作:ボワロー=ナルスジャック

制作:アルフレッド・ヒッチコック

出演:ジェームス・スチュアート / キム・ノヴァク

公開:1958年5月9日(アメリカ) / 1958年10月7日(日本)

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「めまい」あらすじ(ネタバレあり)

夜のサンフランシスコ。警官たちが犯人を屋根伝いに追っていた。その際に刑事ジョン・ファーガソン は足を滑らせて屋根から落ちそうになる。

彼はあまりの高さに目がくらんでしまい、何とか屋根につかまってはいたが動くことができなくなってしまう。一緒に犯人を追っていた警官は彼を助けようとするが、その警官は足を踏み外し落下、死亡してしまう。

それ以来、高所恐怖症になったファーガソンは警察を辞めてしまう。

下着デザイナーで大学時代の友人のミッジは「高所恐怖症は同じショックを体験すれば治る」とファーガソンに教える。

彼女の仕事場にある椅子に登り、下を覗き込む。部屋の床は大丈夫だったが、そこのビルから見える外の景色を見たファーガソンは目がくらんでしまう。

彼の高所恐怖症は深刻なものだった。

ある日、ファーガソンは大学時代の友人エルスターに相談を持ちかけられる。

エルスターは海外で生活していたが妻のマデリンの実家が造船業営んでおり、その後を継ぐために戻ってきていた。そのエルスターの妻・マデリンの尾行をファーガソンは頼まれる。

マデリンの時折見せる様子や行動が不可解で、まるで他人が乗り移ったようだと話すエルスターにファーガソンは医者に相談しろと言って断ろうとする。

しかし他に頼める人がいないと懇願され、しぶしぶ了承する。

ファーガソンはバーでマデリンを確認する。

その日からマデリンの運転する車の尾行をはじめたファーガソン。

昼間、マデリンは小さな花束を買い、教会の墓地を訪ねる。彼女はずっとその墓石の前に立ち尽くしていた。

その墓には

カルロッタ・バルデス

1831年~1857年

と書かれていた。

 

次に彼女が訪れたのは美術館。

マデリンはある女性の絵の前で座っていた。その女性こそカルロッタ・バルデスであり、マデリンはその肖像画をずっと見ていた。その絵の中のカルロッタはマデリンと同じ小さな花束を持って、後ろ髪の巻き方も一緒だった。

次に彼女が向かったのはマッキトリックホテル。

全体的に少し古びた昔ながらのホテルだった。

二階の角の窓側にいたマデリンを確認したファーガソンは初老の女主人に「彼女は泊っているのか?」と尋ねた。

女主人にはカルロッタと名乗っていて、2週間前から週に2、3度来るという。

でも今日はだれも来てないという女主人。

確かめに部屋に行くと、誰もいなかった。そして窓の外を見ると、すでに車が無かった。

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カルロッタの生涯

ミッジにカルロッタをよく知る書店の主人を紹介してもらう。

マッキトリックホテルはもともとカルロッタの家だった。踊り子だったカルロッタを妻のいるあるお金持ちが気に入り、愛人となった彼女に家を建てた。彼女との間に子供ができたが、妻との間に子供がいなかった為、そのお金持ちはその子を取り上げてしまう。1人になった彼女はその後正気を失い、自殺していた。

ファーガソンはエルスターに再度話を聞きに行く。エルスターはカルロッタが誰なのかを知っていた。

カルロッタはマデリンの曽祖母であった、しかしそのことをマデリンには話しておらず、マデリンも知るはずがないとエルスターは答える。

エルスターはマデリンの母親からカルロッタのことを聞いていた。そして自分でも調べていた。しかし自分の曾祖母が自殺したことを知らせるのは忍びないと思って何も言っていなかったのだ。

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接触

次の日もマデリンは美術館に行った。

その後、ゴールデンゲートの真下のサンフランシスコ湾に花束をちぎって巻き、そしてマデリンは海に身を投げた。あわててそれを助けるファーガソン・・・

ファーガソンの自宅で目を覚ましたマデリン。

彼女の記憶は曖昧で、美術館に行ったことすら覚えていなかった。しばらくするとマデリンも落ち着いてきた。

ファーガソンとマデリンが少し談笑していると、エルスターから「妻が戻らない」との電話がかかってくる。海に飛び込んだことを話すと、「マデリンは26歳、カルロッタが自殺したのも26歳だ」と知らされる、

電話の最中にマデリンは別れを言わず、自宅に帰ってしまっていた。

2人の関係

次の日もマデリンを尾行していたファーガソン。マデリンは同じ所をぐるぐると回り、結局ファーガソンの自宅に車を止めた。

手紙をポストに入れようとしていたマデリンに話しかけるファーガソン。

マデリンをデートに誘い、彼女の案内で、ある森にたどり着く。

そこでの彼女はマデリンとカルロッタが混在していた。

心配になったファーガソンの前のマデリンはまるでカルロッタが乗り移ったように喋っていた。自分が鐘のある塔から飛び降りて死んだことを断片的に思い出しかけていた。

絶望していた彼女をジョニーは「僕が守る」と言って抱き寄せ、2人はキスをする。

次の日、マデリンはファーガソンの部屋を訪ねる。自分が自殺したであろう塔の夢を見たと言うマデリン。

「それは実際にある塔で君が以前に見たことがあるだけだ。明日一緒に見に行けば夢じゃないことがハッキリする」と言ってファーガソンはマデリンをなぐさめる。

マデリンの死

次の日、その塔がある教会でお互いにキスをして愛を確かめあう2人

しかしマデリンは「やらなければならないことがある」と言って塔の方へ向かっていった。

後を追うファーガソンだったが、高所恐怖症だったために塔に登れば登るほど目がくらんでしまい、なかなか追いつくことができなかった。

 

そしてマデリンの叫び声が聞こえたと同時に、落下していく姿を見て愕然とするジョニー。

裁判でマデリンの自殺が立証され、一緒にいたジョニーはエルスターや警察時代の上司などの証言により罪に問われる事はなかった

しかしファーガソンはマデリンを死なせてしまった罪の意識から、重度のうつ病になってしまい病院に入院、ミッジにも何も話さなくなってしまった。

瓜二つの女ジュディ

その後退院したファーガソンは、マデリンを探すように街を徘徊する日々を送っていた。

そんな時、髪型が違うもののマデリンと瓜二つの女性を見かける

ファーガソンはその女性の後を追った。

彼女が入っていった安ホテルの部屋を訪ねる。

彼女の名はジュディ・バートン、デパートに勤務している女性だった。

彼女は運転免許証を提示し自分がジュディ・バートンであることを証明する。その後2人は少しだけ話をする。

彼女ともっと話がしたかったファーガソンは食事に誘い、ジュディはしぶしぶ了承する。

待ち合わせの時間を確認し立ち去るファーガソン。

そしてジュディは回想していた。

 

マデリンが塔の頂上に登るとエルスターがおり、彼が別の女性を塔から落とす。

 

そう、ジュディがマデリンだった。

 

正確にはジュディはもともとエルスターの妻ではなく、塔から落ちたのがエルスターの本当の妻マデリンだった

エルスターは妻に似ていたジュディを利用し、さらに妻のマデリンがまるで自殺願望があるかのようにでっち上げ、ファーガソンにそれを信じこませたのだ。

 

ジュディもファーガソンのことを愛していた。そのまま会わずに手紙だけを残して去ろうと思ったが、一度だけと思い食事をする。

しかしその後、何度か会ううちに親密になっていく2人。

ファーガソンはジュディにマデリンと同じグレーの洋服と、前髪をアップさせ、後ろ髪を巻いていた髪型にさせる。

ある日、彼はジュディのつけていた首飾りが以前マデリンがつけていたのを思い出し、ジュディがマデリンであることを確信する。

そして、マデリンを失ったときの呪縛を解き放つため、ジュディを塔につれていく。

そこで愛を確かめ、全て終わらせたかったのだ。

嫌がるジュディとともに塔の頂上に向かって登るファーガソン。

上っている途中でファーガソンに激しく事件の日の事を、問い詰められるジュディ。

2人は塔の頂上でお互いの思いをぶつけ合いながらも愛し合っている事を確認するようにキスをするのだった。

そこに黒いシルエットの別の人間が昇ってきた。結局それは教会のシスターだったのだが、それに驚いたジュディは足を滑らせて塔から落ち、死んでしまうのだった。

「めまい」感想

ヒッチコックの映画は何本もみました。もちろん「めまい」の存在は知っていましたし、見たかったのですが、「傑作」と言われる今作を見るのがもったいないような感じがして、なかなか見ることができませんでした。

 

ラストシーンでジュディが死んでしまう流れがいかにもヒッチコックらしい、因果応報による皮肉のようなラストです。

しかし彼女はなぜ驚いたのでしょうか?

偽っていたとはいえ、自分は死んだことになっていた。しかも唯一愛していた男に・・・

だからジュディは自分がマデリンに姿を変えられて、しかもマデリンが死んだ塔につれていかれて・・・不思議な気分で、しかも死を意識したのかもしれません。

シスターの影が死神にでも見えたのでしょうか?

 

この作品は2012年に英国映画協会が発表した「世界の批評家が選ぶ偉大な作品50選」で第1位に選ばれました。

 

幻想的で、なおかつ刺激的。話自体はそんなに盛り上がりはないものの、視覚効果が今でも新鮮で、これが以降の映画全体に影響を与えたことはうなずける。

もっと早く見ればよかったと思った秀作です。

 

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