「蘇える金狼」あらすじとネタバレ すべてを手に入れた男の顛末は・・・

アクション(邦画)

「野獣死すべし」を執筆した大藪春彦のハードボイルド作品の映画化。

松田優作演じる主人公が、権力をつかむためにのし上がっていく様を描いていきます。

「蘇える金狼」作品紹介

監督 :村川透

脚本 :永原秀一

原作 :大藪春彦

製作 :黒澤満 / 柴垣達郎 / 伊藤亮爾

製作総指揮 :角川春樹

出演者: 松田優作 / 風吹ジュン / 千葉真一 / 成田三樹夫

音楽 :ケーシー・D・ランキン

製作会社 :角川春樹事務所

配給 :東映洋画

公開日: 1979年8月25日

 

夜間の大学を卒業して「東和油脂」という大企業に補欠入社していた朝倉哲也は、真面目で実直な青年だった。数年後、それが功を奏して上司や同僚からも信頼される社員となっていた。そんな朝倉は会社では常に腰の低い控えめな男だった。

しかし彼はボクシングジムで身体の鍛錬、銃の扱い方も知っているという裏の顔を持ち、東和油脂の乗っ取りを密かに企んでいた。

 

朝倉は、ある雨の日に白バイ隊員になりすまして銀行の運搬係を射殺、一億円を奪うことに成功する。

その後、朝倉は東和油脂の内部事情を入手するため、経理部部長の愛人である京子に接近し、麻薬とセックスで自分のいいなりにする。

 

朝倉はある市議会議員をナイフで脅し、奪った一億円で麻薬取引するように約束させる。

 

朝倉を警戒した市議会議員は取引場所で密かに抹殺しようと部下を送り込むが、朝倉は軽快な身のこなしで部下を次々と始末していく。そして命乞いする議員をそのままにして、麻薬を持ち去っていく。

 

一方、東和油脂経理部次長の横領事件の発覚から、会社内の不正をもみ消すための殺し合いが勃発。

東和油脂社長らは社員の朝倉がボクシングの腕が立つことを知り、白羽の矢を立てる。問題解決を依頼された朝倉は、成功報酬に重役のポジションを約束させる。

諸問題を解決した朝倉は、東和油脂社長の別荘へ招かれる。

別荘に集まる重役らに殺しを依頼した証拠を突きつけ、東和油脂の株200万株を要求する。警察を恐れた社長らはその要求を呑む。

大株主になった朝倉は社長宅で社長の娘と出会い、デートを重ねて婚約する。東和社長一族の一員になることも確定し、地位も金もすべて手に入れた朝倉。

京子はずっと朝倉のために、愛人の小泉から東和の情報を聞き出してきた。しかし、同時に朝倉からもらう薬に依存し、小泉ともども薬漬けにされていた。それでも朝倉を愛した京子だったが、朝倉が社長の娘と婚約したこと、そして朝倉から多量の薬を売りつけられ喜んでいる小泉の姿を見て、絶望する。

鐘が鳴り響く石造りの廃墟を朝倉と京子は歩いていた。

抱きしめられた京子は朝倉を刺し、朝倉は驚いた顔で京子の首を絞める。

京子が息絶えた後、朝倉は自分が殺してしまったこと、本当に手に入れたかったものを失った悲しみが溢れ出し、こと切れた京子のそばで泣き崩れる。

 

朝倉は内ポケットから2枚の飛行機の搭乗券を出し、うち一枚を破り捨てる。

 

空港のタラップを颯爽と歩く朝倉だったが、京子に刺された影響だろうか、突如として倒れ込む。

すぐに立ち上がった朝倉は何事もなかったかのように立ち上がり、また颯爽と歩いていく・・・

 

機内で朝倉は朦朧とした意識の中で意味不明なことをつぶやき続ける。

そしてCAに「木星には何時につくんだ・・・」と言い、息絶える。

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「蘇える金狼」感想

前回紹介した「野獣死すべし」の冷酷非道の伊達とは違い、大藪春彦らしいハードボイルドな男を演じた松田優作。

すべてを手に入れたあとに、一番失いたくなかった者を最後に失ってしまうところが悲しみを誘いますが、「野獣死すべし」より人間的で好感が持てます。

松田優作の映画作品ではこの2作がワタシ的には甲乙つけがたいくらいの傑作ですが、どちらか選べと言われれば、やはりラストで風吹ジュン演じる京子の亡骸に搭乗券を投げるシーン、そこからの前野曜子の歌がかなりのお気に入りなので、こちらでしょうか。

ちなみにTVの出演作では「探偵物語」がダントツに一位です。

 

少し残念だったのが、機内で朝倉に話しかけるCA役の中島ゆたかが「探偵物語」で2度ゲスト出演してファンになっていたので、ほぼチョイ役だったのが残念で。

 

あと、内容的に暴力的な内容なので、評価も賛否両論です。

 

 

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