「野獣死すべし」あらすじとネタバレ ラストはどう解釈すればよいのか

アクション(邦画)

「野獣死すべし」は1980年に公開された大藪春彦の同名小説の3回目の映画化作品です。

主演の松田優作は、役作りのために10キロのダイエットをし、頬をコケて見せるために奥歯の上下左右の計4本を抜いて、撮影に入りました。

「野獣死すべし」作品紹介

監督 :村川透

脚本 :丸山昇一

原作 :大藪春彦

製作 :角川春樹

製作総指揮: 黒澤満 / 紫垣達郎

出演者 :松田優作 / 小林麻美 / 室田日出男/ 鹿賀丈史

製作会社 :角川春樹事務所/東映

配給: 東映

公開日:1980年10月4日

 

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「野獣死すべし」あらすじとネタバレ

 

主人公の伊達邦彦(松田優作)は、東京大学卒のエリートで頭脳明晰、元射撃競技の選手でもあった。

しかし大手通信社外信部記者兼カメラマンとして世界各地の戦場を取材し、数々の地獄を見てきたことで、社会性や倫理感などが狂い始める。

通信社をやめた伊達は、翻訳家として収入を得て、文学とクラシック音楽を趣味とした物静かな生活を送りはじめる。しかし、心の中に潜む野獣を止めることは容易ではなかった。

 

ある雨の日、伊達は刑事を殺して拳銃を強奪する。その足で賭博場に行き用心棒3人を射殺して3千万円を奪う。

殺された刑事の部下だった柏木(宝田日出男)は執念深く捜査し、伊達が犯人であろうと目星をつける。

一方の伊達は、クラッシックコンサート公演会場で、隣に座った華田令子(小林麻美)と言葉を交わし親しくなる。

出典:https://www.reviewanrose.tokyo/article/456816360.html

伊達が次に狙うのは銀行。しかし1人では遂行出来ないと考え、仲間を探すことにする。

ある日、大学の同窓会に出席した伊達は、そのレストランで無愛想で反抗的な態度を取るウェイター・真田(鹿賀丈史)と出会う。

伊達は、行きつけのバーで飲んでいた真田に客として接近し意気投合(伊達は、意気投合したようにふるまう)。そこで銀行襲撃を持ちかける。

 

計画達成に近づいた伊達は、いつものようにコンサート会場に姿を見せ、華田玲子と再び顔を合わせた。

伊達は彼女を家まで送り去ろうとした時、その伊達の手を華田が握り切ない顔で彼を見つめた。

しかし伊達はそれに応えずにその場を去る。

出典:https://www.reviewanrose.tokyo/article/456816360.html

 

伊達と真田は銀行襲撃を決行。

次々を行員を射殺し、金庫から大金を得る。その際、たまたま来ていた令子の視線に気づく。令子は帽子とマスクで顔を隠している犯人が、自分にとっての愛しい存在である伊達であることがすぐに分かっていた。

マスクを外した伊達に近づこうとする令子。

伊達は表情を変えず、令子に銃を向け、躊躇なく撃ち殺す。

 

警察緊急配備網をすりぬけた伊達と真田。しかし柏木だけが2人の乗る青森行きの夜行列車の中に追いつく。しかし伊達の向かい側に座っていた柏木は銃を奪われ、身動きが取れなくなってしまう。

 

伊達は5連発のシリンダーに1発の銃弾を込める。「寝ますか?寝る前にお話をしてあげますよ」と言って、アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングの「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話をし始める・・・ロシアンルーレットをしながら。

 

ウィンクルは森に狩りに行くと小人に会う

お酒をごちそうになる

酔っ払って眠りに落ちる

どんな狩りも許される素晴らしい夢をみる

その夢のクライマックスで目が覚める

小人はおらず、森の様子も変わっている

ウィンクルは妻に会うために村にもどる

ところが妻はとっくの昔に死んでいた

村の様子も変わっていた

ウィンクルは眠っている間に何十年も月日がたっていた・・・・

 

「面白いでしょう」と伊達は言う。柏木がおびえながら「なんて酒をもらったんだ?」と聞く。

「ラム、コアントロー、それにレモンジュースを少々。それをシェイクするんです」

刑事はそのカクテル名を知っていた。
「XYZ・・・」

「そう、これで終わりって酒だ!」

そして伊達は引き金をひく・・・

 

弾は出なかった。

 

「ああ、あなたツイてる。 寝ますか・・・疲れたでしょう。僕も疲れちゃった。」と言って伊達が目を瞑る。そのスキに逃げ出した柏木の背中をすかさず撃ち、その場で何度も蹴りつける伊達。

 

戦場記者時代の服装を身に着けた伊達は、そにやってきた車掌も撃ち殺す。かつての戦場カメラマンのように高揚しながら車掌の遺体をカメラで撮影し、真田と共に列車の窓を破って飛び降りる。

出典:https://www.reviewanrose.tokyo/article/456816360.html

2人は山中の洞窟に逃げ込む。その時の伊達はもう戦場の記憶と現実の区別がつかなくなっており、ライフルを持ちながら支離滅裂なことを口走るようになっていた。それにすこし戸惑う真田。

その洞窟で運悪く2人に出会ってしまったカップル。

伊達は男を撃ち殺し、真田は女を強姦する。

 

伊達は男の遺体写真を撮りながら、人を殺す快楽について語り始める。

神を超えた感覚で純粋な殺人を目指す伊達にとって、女を犯している真田が急に目障りになり、真田をも撃ち殺す。そして闇とともに消えていく伊達。

出典:https://www.reviewanrose.tokyo/article/456816360.html

あるコンサート会場ででショパンを聞いている伊達。

ほんの少しウトウトし、気がつくとコンサートは終わっており(初めからコンサートなどなかった?)会場には伊達が一人だけだった。

 

伊達はそそくさと足元に落としていた本を拾い上げ、会場から出ようとする。

「あー!」と一声あげるもなにも反応がないとわかり、会場を出る。

 

外を軽く見回し、太陽に照らされた大階段を降りている伊達は、まるで遠くからライフルで撃たれたように身体をのけぞらせながら倒れる。遠くに浮かぶ陽炎の奥には血を流した柏木が立っていた。

撃たれながらも立ち上がる伊達に2発目、3発目が発射され、手すりを持って支えられた伊達の身体が倒れるところで物語は終わる。

 

 

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「野獣死すべし」感想

主演の松田優作の鬼気迫る演技、それに負けず劣らすのインパクトがあった鹿賀丈史。彼を性格俳優と言わせる由縁を体現した代表作だったと思います。

それでも、松田優作のそれまでのダークヒーロー的なハードボイルド路線の演技とは一線を画した狂気の男の演技は圧倒的でした。

原作とはベースが似ているだけで、類似点があまりありませんが、これはこれで「野獣死すべし」の題名にふさわしい名作だとおもいます。

 

結局、伊達はラストで死んだのか?・・・

結局、伊達は死んだのか?撃たれたのか?柏木は生きていたのか?

 

原作の伊達は今回の陰湿で不気味な人物ではなく、野性的なタフガイとして描かれています。

原作では理由もなく人を殺したりすることがほぼありません。両親を殺され、その復習のため、そして妹を守るためという大義名分があります。その大義名分に従って、自分に向かってくる悪を徹底的に抹殺するというお話のようです。

しかし映画の伊達は、初めは自分の欲望のために人を殺していきます。それがいつの間にか戦場にいるかのような妄想の世界に入ってしまい、人を見たら敵を思え!ではないが、自分を好いていた令子や仲間だった真田をも無感情で冷酷に殺していきます。心無い生き物のように・・・

恐らく伊達は 戦場から帰ってきた時点でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症しているものだと推察しました。

そしてラストシーン、目を覚ました伊達はもしかしたら一瞬でもマトモだったのかもしれません。「ああ、いままで見てきたものは夢だったんだ」と・・・

しかし会場から出た途端、銃声が聞こえたと同時に伊達が身体をのけぞらせます。太陽の陽炎の向こうには柏木が血を流して立っています。

そして、2発目、3発目と、音は聞こえませんが、何度も伊達は撃たれる素振りを見せながら物語は終わります。

 

この時点で伊達は完全に戦場の真っ只中にいるのでしょう。列車から脱出したあたりから伊達の中で戦争が始まり、その中で生き残るため、人を見れば敵と思い、人を殺して写真に収める。これが伊達の日常になっていったのでしょう。しかしそれはあくまでも妄想の世界。

 

だからコンサート会場外で撃たれたと思っている伊達ですが、それも妄想。だから陽炎の奥に見えた柏木も妄想です。

 

だから、この時点では撃たれてはないんでしょう。しかし今までのように自分の中での妄想は制御出来ない状態だとおもわれます。

しかし伊達は今後どこに行っても戦場です。妄想が街中で暴走したら、いずれは本当に撃ち殺される(警察とかに)運命だと考えると、伊達の未来を暗示しているラストだと思います。

 

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