「U-571」あらすじとネタバレ 描きたかったのは戦争の過程ではなく、トップに立つ人間の苦悩と決断

アクション(洋画)

ドイツの潜水艦「Uボート」からエニグマ暗号機を回収したアメリカの潜水艦クルーは、味方潜水艦を沈められて絶体絶命に陥る。

実際にあった事例をもとに作られた、戦時下での人間ドラマです。

 

「U-571」作品紹介

監督:ジョナサン・モストウ

脚本:ジョナサン・モストウ / サム・モンゴメリー / デヴィッド・エアー

製作:ディノ・デ・ラウレンティス / マーサ・デ・ラウレンティス

出演:マシュー・マコノヒー / ビル・バクストン / ハーヴェイ・カイテル 他

公開:2000年4月21日(アメリカ) / 2000年9月9日(日本)

 

 

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「U-571」あらすじ(ネタバレあり)

1942年、ドイツの潜水艦Uボートはこれまでに連合軍の戦艦など約1000隻以上を沈没させていた。

その1隻、U-571はイギリス海軍の駆逐艦に攻撃を受け、エンジンが損傷、ドイツ本国へ救難信号を送る。

それを傍受したアメリカ海軍はロートル駆逐艦S-33をU-ボートに似せて改造し、U-571の救援を装い、船内を制圧後にエニグマ暗号機を奪取しようと考える。

Uボート占拠

U-571を発見したS-33は、ドイル軍人に扮装したアンドリュー・タイラー以下10人弱を小型ボートで乗り込ませる。

しかし乗り込んだ直後に正体がばれ、銃撃戦となる。

船内を制圧し、エニグマ奪取に成功したタイラーたちは生き残ったドイツ兵を捕虜にし、S-33へ帰ろうとする。

しかし、救難信号を受け取っていた本物のUボートがそこに現れてS-33に魚雷を発射。

この攻撃で、S-33は撃沈する。

U-571に取り残されたタイラーたちはUボートからの攻撃を回避し、最後に残っていた蓄電池で魚雷を発射し、敵を沈める。

生き残った敵の捕虜を1人収容し、修理を完了したU-571は航行できるようになり、一番近いドイツ占領下のフランス、ランズエンド沖に向かうことになる。

駆逐艦からの攻撃

捕虜にふいをつかれて攻撃され、船員の1人が死亡。そのゴタゴタの間にドイツ軍の駆逐艦がU-571を見つけ、味方だと思い、小型ボートで向かってくる。

正体がバレて、本部へ連絡されることを恐れたタイラーはU-571の備砲で駆逐艦の通信室を狙う。

見事に通信室は破壊され、U-571は急いで潜航する。ドイツ軍の駆逐艦はU-571の進路を予測して、次々と爆雷を海の中に投下する。

直撃は免れたものの、爆発の影響でさらに破損する。

使い終わった魚雷発射管から、ゴミと一緒に殺された部下を放出し、沈没したように見せかけるタイラー。その作戦は成功し、駆逐艦の攻撃が止む。

決断

タイラーは駆逐艦から離れた場所から1発しかない魚雷を発射する計画を提案する。しかし発射管の圧縮弁が故障しており、修理には時間がかかるようだった。

かろうじて生かしておいた捕虜が船内の壁を使って、駆逐艦にモールス信号を送る。「我U-571、撃沈せよ」と。

タイラーの部下がそれに気づき、急いで捕虜を殺すが、それを傍受した駆逐艦が再び攻撃をしかけてくる。

発射管の圧縮弁を直すには、水中に沈んでいたバルブを締める必要があった。そこは小柄な人間でないと行けない場所のため、タイラーはトリガーという部下にその任務を命じる。

トリガーはなんとかバルブを締めるものの、そのまま溺死する。

魚雷を発射して駆逐艦を破壊したタイラーたちは小型船に乗り移り、U-571は沈没する。タイラーの手には、なんとか死守したエニグマ暗号機が握られていた。

そしてしばらく漂流したのち、最初に彼らを見つけたのはアメリカ軍の哨戒機だった。

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「U-571」感想

まず、冒頭で ”実際にあった事例をもとに” と書きました。実際にはどうだったのかを時系列でお伝えします。

まず連合軍が、エニグマを奪取するためにUボートを捕獲し、艦内に突入したという出来事は、実際の戦史に存在します。

ただし、映画のようにアメリカ海軍が潜水艦をUボートに偽装して、海兵隊員に率いられた潜水艦乗員がドイツ兵に扮し、武装してUボートに乗り込むというところは違います。

 

1941年5月9日、グリーンランド南端沖でイギリス海軍艦隊が、U-110を爆雷攻撃し、損傷して浮上してきたU-110に武装した兵員が乗り込み、エニグマを入手。

1942年10月30日、同じくイギリス海軍の駆逐艦「ペタード」が、U-559に対して爆雷攻撃を行い、浮上してきたU-559に駆逐艦の副長と水兵の2人が武装して、U-559に強行突入。ドイツ海軍の気象情報用の暗号鍵を手に入れる。

 1944年6月4日、空母「ガダルカナル」率いる米海軍第22.3機動部隊が、U-505を捕獲し、エニグマを入手。

 

映画ではアメリカ海軍が作戦を実行したことになっていますが、史実ではイギリス海軍です。

 

この作品で描きたかったのは戦争の過程ではなく、トップに立つ人間の苦悩と決断だったのでしょう。

主人公であるタイラー大尉はS-33の副艦長。別の船の艦長就任が確実視されていました。

しかしS-33の艦長のダルクゲン少佐はタイラーを艦長に推薦しませんでした。

 

なぜか?

 

タイラーは他の乗組員から兄のように慕われていました。しかしいざ、自分の艦が危機に陥った時、誰かを犠牲にしないと他の乗組員が助からない時、タイラーにその決断ができるのか・・・?

ダルグレン少佐はまだその決定力がタイラーにはないと判断します。

そしてS-33は出港し、攻撃されて沈没します。ダルグレンは生きていましたが、敵に見つからないようにするため、自分を助けずに早く潜航しろと言って死んでいきます。

タイラーは捕虜に殺された部下を、船が沈んだと偽装させるためにゴミと一緒に放出します。それは「捨てた」のではなく、「生き残るため」にです。

そして、無理を承知でトリガーにバルブを締めに行かせます。それを締めないと魚雷が発射できず、全員が死ぬからです。

そしてトリガーが死んだことを知ると「やり遂げたんだな」と言って悼みます。

そして絶体絶命の危機を回避し、生き残った船員からの絶対的な信頼を得ることに成功します。

トップに立つことはすべての責任を負うということ、そしてやり遂げる覚悟を持つこと。そうしなければ生きてはいけないという教訓を感じさせる作品でした。

 

余談ですが、ジョン・ボン・ジョヴィがタイラーと同じ階級役で出ていました。楽しみでしたが後半は出てきませんでした。

どうやらS-33が爆発した時に一緒に吹き飛ばされたみたいで・・・

もうちょっと見せ場つくってくれればいいのに・・・と、ボン・ジョヴィ好きの私は思ってしまいました。

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