1996年に舞台化された三谷幸喜の密室劇。初演舞台を見た映画プロデューサーが気に入り、映画化となった作品です。
映画化にあたっては、三谷幸喜が監督を指名するという条件付きでした。
その監督に指名された星護は、もともと「古畑任三郎」シリーズでチーフディレクターを務めていたことで、以前から三谷幸喜の信頼を得ていたそうです。
しかし星護は「これほど完成された作品を映像化などできない」と最初は拒否したそうです。しかし、その後の説得により8年越しで映画化にこぎ着けました。
「笑の大学」作品紹介
原作:脚本:三谷幸喜
監督:星護
製作者:亀山千広、島谷能成、伊藤勇
企画:石原隆
プロデューサー:重岡由美子、市川南、稲田秀樹
アソシエイトプロデューサー:小川泰、佐藤玄
エグゼクティブプロデューサー:前島良行
製作:フジテレビジョン、東宝、PARCO
製作協力:共同テレビジョン
配給:東宝
公開日:2004年10月30日
出演:役所広司 / 稲垣吾郎 / 高橋昌也 / 石井トミコ / 小松政夫 / 長江英和 / 眞島秀和 / 木村多江 / 八嶋智人 / 加藤あい / 木梨憲武
「笑の大学」動画配信情報(2022年7月4日時点)
2022年7月4日時点では「笑の大学」が視聴できる配信サイトはありません。
この時期に見たくなる、三谷幸喜さん脚本の映画 #笑の大学
戦時下に厳格な検閲官と喜劇作家が、台本の上演許可をめぐって応酬を重ねるうち、不思議と友情めいたものが生まれてくる…という密室劇です。
役所広司・稲垣吾郎 両氏の熱演と、緊張と緩和のバランスが素晴らしく、ラストシーンに涙…🥲 pic.twitter.com/s5G89GMCcX
— エヌ氏の祐天寺 (@HenryGondorff00) August 12, 2021
「笑の大学」あらすじ
舞台は昭和15年の東京浅草。
日本は日中戦争の真っ只中で、太平洋戦争に突入しようとしている状態。
浅草で劇団「笑の大学」の作家担当である椿一(稲垣吾郎)は、来月から上演予定の「ジュリオとロミエット」の上演許可をもらうために、警視庁保安課検閲係に出向く。
担当である警察官の向坂睦男(役所広司)は過去に反日思想の取り締まりをしていた男で、演劇や笑いに全く興味のない男だった。
警視庁保安課検閲係には椿の他にも、演劇上演の許可を得ようと数人が来ていたが、「戦時中にエンターテイメントである演劇に興じるとは何事か!」といわんばかりの向坂によって、ことごとく不許可にされていた。
椿の台本を読んだ向坂は、「ロミオとジュリエット」が外国の脚本であること、登場人物が外人であることに難色を示し、まずは舞台を日本の設定にすること、そして登場人物を全員日本人にすることを指示する。
翌日、舞台を日本にして登場人物も全員日本人に変えた「貫一とお宮」という台本を提出する椿。
しかし今度は「お国のため」というセリフを3回繰り返す場面を作れと向坂に言われる。
3日目、「お国のため」のお国が登場人物の芸者”お国ちゃん”になっていることに激怒する向坂。そして芸者のお国ちゃんが1シーンしか出てこない(椿が”お国のため”を3回言わせるために無理やりに作ったキャスト)ことに言及し、お国ちゃんという芸者の人生を軽く考えすぎではないかとまで言い出す。
椿はその場で台本を修正し 「お国のため」を「お肉のため」に書き換える。臨機応変な椿のセンスに呆れながらも感心する向坂。しかしながら、貫一とお宮の接吻シーンを無くすことを追加で指示する向坂。
4日目、接吻シーンは酔っ払いに割り込まれて、出来なかったというシーンに書き換えた椿。
向坂は「自分からの直しはもうないが、警察署長の要望で登場人物に警官を追加してほしい」と言い出し、椿はまたしても台本を変更することになる・・・
しかし、その頃の向坂はそんな椿の台本に検閲係としてイチャモンをつけつつも、個人的に彼の才能に興味を持ち始めていた・・・
5日目、警察官を取り入れた台本を読んだ向坂は、不自然な警察官の登場が気に入らず、自ら設定を提案し、それに呼応した椿とまるで稽古をしているかのように、2人でこうだああだと部屋を走り回りながら台本をまとめていく。
その夜、向坂はこっそりと「笑の大学」の舞台を見に行く。
#NHK #BSP #プレミアムシネマ
『笑の大学』
1/5(水)13:00~15:02
三谷幸喜原作・脚本の舞台劇を、役所広司、稲垣吾郎の共演で映画化。昭和15年の東京を舞台に、笑いをめぐって対立する検閲官と喜劇作家の攻防を描く傑作コメディー。https://t.co/brJlswwBWy pic.twitter.com/GqkeqR4qFd— シネマサテライト (@CinemaSatellite) December 9, 2021
6日目、椿と向坂は2人で芝居をしながら台本をチェックし、ようやく上映許可がおりる。その際に向坂は、昨日に舞台を見に行き、そこで椿が自分のせいで劇団員から裏切り者扱いされ、つらい目に遭っていることを知ったことを伝え、今までのことを椿に詫びる。
椿はそこで無理な要求を聞き入れ、さらに面白い台本を書くことは、権力に対する自分なりの戦いだったと本音を漏らしてしまう。これを聞いた向坂はさすがに怒り出し、一切笑いのない喜劇を書いてこいと言って上演許可を取り消してしまう。
7日目、椿が書き直した台本は笑いを無くすどころか、さらに笑いを取り入れた傑作となっていた。それを読んだ向坂は笑いをこらえることが出来なかった。それでも「どういうつもりですか!!」と椿を厳しく問いただす。
椿は召集令状を向坂に見せる。
椿は許可がおりても、自分はもう演出はできない。だから最後に、浅草で学んだ喜劇の全てを書いたと言うのでした。
向坂は椿の台本を上演させてやりたかったために、密かに椿の召集令状の差し止めの指令を出していたが間に合わなかった。
椿「お国のために立派に死んできます」
向坂「必ず生きて帰ってこの芝居を上演しろ。」
「お国のために死ぬんじゃない!、死んでいいのはお肉のためだけだ!」
お家で片付けしていたら出てきた切り抜き。「笑の大学」は、公開されてから公開館が広がってロングラン、公開2か月たってから新宿で観た時も、ほぼ満席で笑い声が絶えなかったなあ。また早く映画を映画館で観たいです。#THETRAD #稲垣吾郎 #映画 pic.twitter.com/dTg5xYW8di
— しょう (@just_56) May 25, 2020
「笑の大学」感想
国家権力の象徴のような男が、”笑う”という人間の持って生まれた権利の前では歯が立たなかった・・みたいな話です。
最初は時代背景に沿った単なる密室コメディだと思っていましたが、結局最後はほんのりと反戦を取り入れていて、うまくまとまった秀作でした。
まじめな顔して変な台詞を代弁する役所さんが稲垣さんを完全に食っている。
物語的には素晴らしい内容ですが、なにせ会話劇なので見せ場が少ないのが難点。とっても暇な時なら見てもいいかも・・・くらいの気持ちで見るのがベスト。
でも、名作なのは確かです!