過去にドクターキリコという安楽死を良しとする”黒い医者”を紹介しましたが、今回は完璧主義者でどんな不正もゆるさない若き白い医者が登場します。
ブラック・ジャックOVA カルテ7 「白い正義」あらすじ
東西大学病院に務める2人の医師、白拍子泰彦とキャサリンは恋人同士である。その2人は数週間後に結婚することになっていた。
出典:手塚治虫OFFICIAL
白拍子は若いながらも第一外科医局長。大学剣道部OBで、現役時代は三連覇もするという文武両道の完璧主義者であった。
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その日も手術を終え、その後には後輩たちと剣道を嗜んで自宅に帰ってくる。そこにはすでにキャサリンが訪問していた。キャサリンは「結婚式を半年ほど延期してほしい」と白拍子に願い出る。
キャサリンは医療ボランティア協会のメンバーだったため、内戦が起こったアデンタールでの負傷者を見過ごすことができなかった。反対する白拍子をなんとかなだめ、キャサリンはアデンタールへ旅立っていく。
砂漠の男
アデンタールにて、昼間に車で移動中にキャサリンは砂漠を歩く男を発見する。その男と行き先(難民キャンプ)が同じだったため車に載せようとするが、一緒に乗っていた現地民からテロリストかもしれないと疑われたため、その男は同乗を遠慮する。
結局その男は砂漠を10キロも歩いて、難民キャンプにたどり着いた時は真夜中だった。その男こそBJだった。BJはカレン・アラビスというファロー四徴症にかかった5歳の女の子を探していた。
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BJはここに来る前にNYマフィアの親分パターソンに頼まれ、孫の病気を治してくれと頼まれたのだった。その時点ではまだ内戦は始まってなかったが、BJが空港に降り立った時に内戦が勃発。
外国人が入国を拒否されたために空港内から抜け出して、約2ヶ月間も探し歩いていた。そんな時に砂漠でキャサリンに出会ったのだった。
キャンプ内での手術
翌日カレンが難民キャンプで見つかるが、動かなくなった娘が死んだと思った母親が半狂乱になっていた。母親が拳銃でカレンを殺そうとした時にBJが飛び込み、その拳銃を取る。「死なせて〜!」と叫ぶ母親。
カレンは微弱な呼吸だったがまだ生きていた。そこでBJはキャンプ内での緊急手術を開始する。キャサリンは自分から助手を名乗り出る。
キャサリンはBJのその見事な腕もさることながら、BJが手術中のカレンに「頑張れ、大丈夫だ!」とささやきながら執刀している姿を見て感銘を受ける。
そしてカレンの手術は成功する。
ここまでの出来事を手紙に書いて、それを白拍子は日本で読んでいた。笑いながらもそんな無免許医のことを褒めるキャサリンの言葉に嫉妬を覚える白拍子だった。
予定外の滞在
キャサリンの学生時代の恩師でBJもよく知っている心臓外科の重鎮スタンフィールド教授がカレンの術後治療に当たることになった。カレンとともにヘリでNYに向かう事になったBJ。
しかし難民キャンプにいた怪我や病気の子供たちを連れた親たちが殺到してくる。キャサリンは治療できる医師がキャンプにはいないことを嘆き、そして国連の休戦決議までの暫くの間、治療をしてくれないかと懇願する。「ボランティアに来たんじゃない!それに無報酬の仕事はしない!」というBJだったが、あまりにも悲惨な状況とキャサリンの必死の懇願に負けてしまう。
「1人につき1ドルだ!ビタ一文まけない。しかし手持ちがない人は借用書で結構!」と叫び、その言葉にキャサリンは歓喜する。
対峙
スタンフィールド教授はBJの手術が完璧なことに感銘を受ける。そんなスタンフィールド教授に呼ばれた白拍子がNYにやってくる。スタンフィールド教授は国際医師連盟特別会議を招集し、そこに白拍子を呼んだのだった。
会議においてスタンフィールド教授はBJがおこなったカレンの術例を紹介し、BJに国際医師免許を与えてはどうかという提案をする。そこにいた医師たちは表には出さないものの、なにかしたBJに手術を頼み、自分の病院の手柄にしていたものも多くいた。
多くの医師たちはコソコソしながら取引する必要がないだの、規定の医療費で済むだのという理由でスタンフィールド教授の提案に肯定的だった。しかし白拍子だけはこれに猛反対し、「あなた方はどうかしている!無免許医療はルール違反であり、高額医療は我々医師への冒涜だ!」と激高する。
会議は一旦閉会し、1ヶ月後に評決で決めることになった。
そんな時、アデンタールにて国連が介入し内戦は終結に向かう。
出典:手塚治虫OFFICIAL
そしてBJがNYにやって来る。BJはパターソンと再会し、過度なおもてなしを受けることになる。ナイトクラブでパターソンがカラオケに興じている時に敵対勢力の襲撃を受け、パターソンは大量の銃弾を浴びてしまう。
スタンフィールド教授の病院で緊急手術をすることになったBJ。しかしそこにいた白拍子に医師免許の提示を求められる。白拍子はパターソンの手術を自分でやると言いだし、BJはとりあえず一歩退くことになる。
パターソンは身体中に銃弾を撃ち込まれ、それを一つずつ除去していく白拍子。しかし脳幹付近にも撃ち込まれていた弾丸の除去が難しく、どうにもできない状況になる。そんな手術の様子を見ていたBJが助け舟を出し、BJが代わりに執刀、白拍子が助手をすることになる。
白拍子は一緒に手術したことで、医療は医師のプライドでやるのではなく、患者のためにやるものだと理解する。そんな白拍子に結婚を早めようかと提案するキャサリン。
一ヶ月後、国際医師連盟特別会議において満場一致でBJに国際医師免許を与える提案が賛成される。その会議にはもちろん白拍子も出席していた。しかし同じく出席をお願いしていたBJが姿を現すことがなかった。
BJの自宅で大量の借用書を見つけたピノコはそれを燃えるゴミとしてまとめようとするが、BJはそれを奪い取り「大事なものなんだ」と言って微笑むのだった。
今回は正統なBJのお話のような展開でした。BJを知らない方はこれを最初に見たほうがいいのではないかというスタンダードなお話です。
アニマックス「ブラック・ジャックOVA」
2018年3月31日 (金) 1:00~
KARTE 7 白い正義 https://t.co/mpX6OIUgwS
ブラック・ジャック:大塚明夫#大塚明夫 pic.twitter.com/4fPryQCSi2— Cafe_CRAIG (@Cafe_CRAIG2016) March 27, 2018
なぜBJは無免許なのか?
国際医師免許について、結局BJは会議に出ませんでした。BJは医師免許が欲しくないのでしょうか?
なぜBJが無免許なのかは諸説あります。原作やTVシリーズから該当する理由を上げていきます。
1,性格的に肩書やルールが嫌いだから
2,日本医師会の姿勢が嫌いだから
3,法外な治療費がほしいから
4,ある病気を前にするとトラウマから手が震えるから
1と2はありえますね。原作でも他の医師やグループと対立する場面が多くありますので群れを嫌っているのは確かです。(まるで米倉涼子!)
そしてなぜ無免許となったのかです。もともとBJは三流大学を卒業し医者になりました。しかし病院の勤務医時代に日本では禁じられている移植手術をするかしないかで上層部と対立したため、医師免許を剥奪されたというエピソードがTVシリーズで描かれています。
しかし明快な答えは分かっていません。それがまたミステリアスなところであり、それがここまでメジャーなキャラクターになった由縁でしょう。
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