今回はBJたちが摩訶不思議な体験をする「雪の夜話、恋姫」を紹介します。
雪道で道に迷ったBJとピノコ。いつの間にか2人は戦国時代の只中に迷い込んでいた・・・
「雪の夜話、恋姫」あらすじ
BJのもとに種田三郎という宛名の小包が送られてくる。少し古びたダンボールの中には、古びたお札が大量に入っていた。一緒に地図と手紙が入っていた。
添えられた手紙には「明日をもしれない病にかかった妻を救ってください」と書かれていた。しかし小包は2年前の同じ日付だった。不思議には思ったがBJとピノコは急いで地図に示された山奥の場所に向かうことにする。
戦国の世界
出典:手塚治虫OFFICIAL
豪雪によって山道でスタックしたBJとピノコは車の中で少し休憩することにする。少し眠ったBJは直ぐ側にお寺があることに気づく。
その寺には薫光尼という尼僧が住んでいた。
ピノコをそこに預けてBJは雪の中、種田の妻が住む家に向かうことになった。
その道中で馬に乗った武将姿の種田三郎左衛門と名乗る男と出会う。その直後、敵対しているであろう兵士たちに襲われるも種田の豪腕によって事なきを得る。
出典:手塚治虫OFFICIAL
種田は隠れ家にBJを案内する。そこには十数人の池畑家の兵士とともに、その2階に姫も隠れていた。
姫の年齢は20歳。16歳の時に六条寺家の側室にならないかとの婚姻話が持ち上がる。そのときの六条寺の年齢は62歳だった。婚姻を嫌がった姫は輿入れの前日に毒の実「ガマカズラ」を食べて吐血。それからずっと全身がしびれ、時折発作や発熱が起きるといった病状だった。
その姫の身体には蛇の鱗のような模様が、まるで巻き付いているかのように浮き出ていた。さらに姫の身体には明らかな心臓の疾患があった。治療を願う種田だったが設備のない場所での手術を躊躇するBJ。
BJが直診している時、外には虻丸という男が偵察に来ていた。
虻丸は薫光尼直属の忠実な配下であり、薫光尼は六条寺の正室だった。婚姻話が一旦無くなったとはいえ、六条寺は未だに姫に未練を持っていた。
厄介者扱いの薫光尼は尼寺生活を余儀なくされてしまい、その恨みを薫光尼は持っていた。
虻丸は翌日に六条寺の軍勢がやってくることを種田に伝え、「それまでに姫を差し出せ。さもなくば池畑残党共々、生首をさらしてやる!」と言い放つ。怒った種田は虻丸に刃を振り下ろすもかわされてしまう。
去っていった虻丸。
BJは急いで寺に戻るが、ピノコが薫光尼に誘拐され周りは兵士たちで固められていたため、その場から強制的に退去させられる。
姫の思い
BJは隠れ家に戻ってくる。そこで種田と姫が話をしているのが聞こえてくる。姫はこうなったのはお前のせいだと言い、種田は困った顔をする。「なぜ、私を嫁にもらってくれなかったの?」と・・・
姫は小さい頃から種田と一緒だった。何処に行くにも遊ぶときも・・・
そんな姫は12歳の時、一度だけ種田に「結婚してほしい」と言ったことがあった。しかし一国の姫とその家臣という身分違いから、種田は断っていた。しかし種田は姫の気持ちを十分分かっていた。そして種田自身も姫のことを愛おしく思っていた。
「あの世でならお前と一緒になれると思って毒を飲んだのに・・・」と残念がる姫。そこまで言ってもまだ家臣としての立場を守って謝る種田。
姫の怒りの矛先は六条寺に向けられ、「もう迷惑はかけたくない」と言って自ら短刀で自害しようとする。種田は短刀の刃を素手で受け止め、短刀を奪い取る。
その一部始終を見ていたBJは何事もなかったかのように「熱湯と灯りを用意してくれ。手術を始める」と言いながらやってくる。
手術
六条寺は陣を張り、正室である薫光尼にわざわざ挨拶に来るように虻丸に命令する。「あとは自分で捕まえるからもう都に戻っていいぞ」という六条寺に薫光尼は「あの女の生首見るまで帰りません。まだあの女に未練がありますか?」と尋ねると「未練は男の甲斐性だ」と返され呆れてしまう。
それらの会話をそばで聞いて怒りがこみ上げてくる虻丸。去ろうとする薫光尼のそばで脇に差した短刀を抜くも「よい、一度は夫になった人。今はよい」と言って虻丸をなだめた。
姫の手術が始まる。姫の胸にメスが入った時、同時に寺にいた薫光尼も苦しみだす。薫光尼はすべてを察知し、怪しげな呪文を唱え始める。すると今度は姫の身体にあった蛇の模様が実体化して、大蛇となってBJたちを襲い始める。
種田がその大蛇を成敗したと同時に薫光尼も倒れ込み、彼女はそのまま絶命する。
逃避行
姫の手術は成功したが、数日安静にすることが条件だった。しかし六条寺の軍勢が隠れ家にやってくる。兵士たちが必死に抵抗する中、種田は背中に姫を担ぎ逃げようとする。「傷が開いたら命はないぞ」とBJは忠告するも、六条寺に姫を奪われたくない種田は馬に乗ってその場を突破する。
出典:手塚治虫OFFICIAL
そのころ、陣で指揮を執っていた六条寺のもとに薫光尼のい亡骸を抱いた虻丸とピノコがやってくる。虻丸は「薫光尼様は先程お亡くなりになりました」と言い、それを淡々と驚きもせず聞いている六条寺。
「今回のことはすべて六条寺様のご乱心が原因。その煩悩、主人に成り代わり虻丸が成敗いたします」と言って脇差を抜き六条寺に迫る。
しかし周りの家臣によって止められ槍で串刺しにされる。虻丸は意識が無くなる寸前に仕込んでおいた仕掛け(脇差の刃だけが飛び道具となって六条寺の胸に突き刺さる)を作動させ、そのまま絶命。(六条寺の生死は不明)
種田は馬で逃げながら、このまま逃げ切れたら姫と結婚して2人で住もうと告白する。
姫はそれを聞いて「夢がかなった・・・」と喜んだ。
「子は何人もうけましょうか・・・・??・・・ 姫!?」
返事がない姫が気になり種田が馬を止めると、姫は幸せそうな笑顔で亡くなっていた。
その時、うなだれる種田の背中に六条寺の軍勢によって放たれた大量の矢が突き刺さる・・・
種田を討ち取ったと兵士たちが叫んでいるのを聞いたBJ。そこにピノコがやってくる。ピノコは誘拐されたとはいえ、薫光尼や虻丸は優しく接してくれていた。その2人が死んだことが悲しかったのか、その場で泣きじゃくっていた。
そこでBJは再び目を覚ます。
現実の世界
BJが目を覚ましたのは車の中だった。スタックしてから20分ほどしか経っていなかった。夢を見ていたことはなんとなく憶えていたが、内容は全く覚えていなかった。
雪はすっかりやんでいた。車から降りると種田三郎が声をかけてくる。
「やっぱり来てくださった」と種田は嬉しそうだった。
種田はBJとピノコを自宅に案内する。種田は1階で囲炉裏に火をつける。
少し座って温まったあと、「妻は2階にいます」と言うのでBJとピノコは2階に行く。
そこには種田の妻が寝ていた。
BJは直診し、心臓に疾患があることがわかる。設備がある病院での緊急手術が必要だと伝えた上で、夫の種田三郎に承諾書をもらってくるとも伝えた。そこで何故か驚く妻。
BJが1階に降りて三郎を探すも何処にも見当たらない・・・
妻はフラフラしながらも1階に降りてきて「主人は2年前に亡くなっております・・・」と告げる。
種田は妻の治療費を稼ぐために東京に出稼ぎに行き、そこでの事故で亡くなっていた。
ピノコは「そんな・・・さっきまで3人でここに座ってたんだよ」と言って種田が座っていた座布団を指差した。妻はその座布団に頬を当て「ありがとう・・まだ私を見守ってくれてたのね・・」と涙する。
BJは間に合わなかったときのために種田が貯めたボロボロの紙幣を全額持ってきていた。鞄に入ったそれを見せながら泣き始めるピノコ。
BJはその鞄を閉め「これは頂いておく。どうやら間に合ったようだ」と言って微笑んだ。
「雪の夜話、恋姫」感想
今回は恋愛、戦、時代劇、幽霊・・・と盛りだくさんでした。
夢の中での種田と姫が死んだ場所にご神木があり、その下には「姫塚」という古い小さな碑がありました。現実世界で生まれ変わった2人は結ばれたという意味合いなのでしょう。
そして薫光尼と虻丸も、現実世界では種田が死んだ後に、いつもご飯や身の回りの世話をしてくれる隣の母親と息子として生まれ変わっています。
最後はなんだかんだでハッピーエンドに終わっており、とても見ごたえある、そしてスッキリした終わり方でした。
これも「マリア達の勲章」と同じくベスト3に入ります。いや、一番好きかも・・・
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