「日本のいちばん長い日」あらすじ やり始めたことをやめる難しさを考えさせられる事件

映画

皆さんは「宮城事件」を知っていますか?

その事件は1945年8月14日の深夜から翌15日の未明にかけて起こった一部陸軍将校達によるクーデター未遂事件です。

それを描いているのが「日本のいちばん長い日」です。

 

「日本のいちばん長い日」作品紹介

監督・脚本 : 原田眞人

製作総指揮  : 迫本淳一

原作:半藤一利

企画協力 : 東宝映画 ・文藝春秋

出演  : 役所広司  / 本木雅弘 / 山崎努 / 堤真一 / 松坂桃李 他

公開:2015年8月8日

 

 

広島への原爆投下後、連合国からポツダム宣言を受諾するようにとの連絡を受けた内閣はどうすべきか議論するが、一向に決められなかった。

阿南惟幾陸相(役所広司)は本土決戦を提唱しますが、そんな時、長崎にも原爆を落とされ、もうどうにもできない状況になってしまう。

 

そして御前会議において、天皇は太平洋戦争を終わらせる決定をし、玉音放送で日本国民に戦争の終結を伝えるための録音を始めようとする。

 

しかしそれに反対する畑中健二少佐(松坂桃李)を中心とする陸軍将校がクーデターを計画、それは皇居の一時占拠、そして軍内部の反対派である森・近衛師団長の殺害にまでおよびます。

 

しかし彼らの苦労むなしく玉音放送は流され、阿南陸相は責任を負って自刃。玉音放送中にクーデターを起こした陸軍将校たちも自決する。

 

 

ざっとした流れはこんな感じです。

最初にも書きましたが、この作品は一部陸軍将校らによって皇居が占拠されたクーデター未遂事件(宮城事件)を中心に描いていて、良くも悪くも日本を守ろうとした人たちの戦いを描いた作品です。

戦争を体験してない私もそうですが、戦争がいつあったのかも知らない若者たちも最近はいるそうで。みんなに見てほしい、見るべき映画だと思います。

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ちょっと考察

 やめる難しさ

「逆境を生き抜く主人公が僕の作品のテーマ。」

「駆け込み女と駆け出し男」公開時に原田眞人監督はそう語っていました。

本作はまさにそのテーマに相応しいです。

いま国が滅びようとしているその状況下で、内閣総理大臣・鈴木貫太郎が、陸軍大臣・阿南惟幾(あなみ これちか)が、国の存続に全力を挙げるお話です。

何かを成し遂げようと頑張る物語を見て、感動したことは多々あります。やり遂げること、目的を達成することの喜びと素晴らしさ・・・。私たちを取り巻くのは、はじめたら最後までやり通すことを称賛する価値観。そして今回も感動させるエピソードであるが、少し違います。

本作が描くのは、やり通すことではなく、やめることです。

途中でやめるのは、実は成し遂げるより難しいかもしれません。間違いを認めたことになるから、はじめた人の責任が問われるし、これまでの犠牲を無にすることにもなる。続行したほうが利益や誇りや満足感を得る人間もいます。

本作が胸を打つのは、「途中でやめる」という偉業に挑んだ人々の真摯な姿を描いた部分です。

 

もちろん、最後までやり通そうとする人もいました。ここで云う「最後まで」とは、最後の一兵まで戦うこと、国民二千万人が特攻してでも戦争を続けることだ。日頃は美談として語られる「最後までやり抜くこと」が、実はとんでもなく恐ろしい発想であることを、本作は教えてくれています。

しかも、これは国民が望んではじめた戦争でした。日清戦争に勝利したから、中華民国にも勝てると思っていた。期待どおり首都南京は陥落したから、国民はお祝いムード。

それが真珠湾攻撃を誘発させてしまいます。

本作には強硬に戦争継続を主張する人物として元首相の東條英機が登場するが、彼とて首相就任時は日米開戦を回避しようとしたそうです。しかし戦争回避の努力をしようとすると国民から抗議の手紙が来て、開戦すると「よくやってくれた」「東條さんは英雄だ」と称賛されたそうだから、気持ちが戦争に傾くのは当然だったでしょう。

 

その戦争を終わらせようというのだから難事業です。
戦争を終わらせる。本作の鈴木貫太郎首相はその決意を滲ませるが、それは手段であって目的ではない。鈴木首相はじめ閣僚、軍人たちの目的は国を存続させることだでした。

その思いは同じでも、国を存続させるために戦争を終わらせようと考える人もいれば、国を存続させるために戦争を続けようと考える人もいました。その両者を人間性まで含めてきっちり描いたことが、本作に深みを与えています。

 

昭和天皇の登場について

この作品には重要な人物として昭和天皇が登場しています。歴史上の位置づけからすれば当然ですが、なんと昭和天皇の姿や声をはっきりと描く日本映画は本作が初めてだそうです。

これまでの日本映画は、天皇に会いに行くショットと退室するショットの積み重ねで天皇の存在を示唆したり、背中越しの映像を見せるだけでした。立場上、はっきりとエンターテイメントとして作られている映画という産物に登場させるのは、なかなか勇気のいることだと思います。

それでも「宣戦の詔書」も「終戦の詔書」も昭和天皇の名で出されたのに、歴史の当事者がこのようにしか描かれないのは、考えてみればおかしなことだ。

 

こと終戦に至る道のりには、昭和天皇の言動を明確にしなければ描けないものがあります。これまでの映画では天皇を取り巻く閣僚や軍人たちの描写から匂わせるだけだったものを、本作はハッキリと提示しています。

2013年公開の「終戦のエンペラー」では片岡孝太郎さんが昭和天皇を演じましたが、こちらの映画は日米合作ということになっているし、出番もさして多くありませんでした。本木雅弘さんが全編出ずっぱりで昭和天皇を演じたのは特筆すべきことだと思います。

 

 

この作品、年配者でも歴史として「宮城事件」を知らない人が多いようです。まあ戦争経験者でない限り仕方ないかもしれませんが・・・

やめる勇気、やり始めた責任・・・そんなことをあらためて考えさせる作品だと思います。

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