「遊星からの物体X」は、1982年のアメリカ合衆国のSFホラー映画。
出演はカート・ラッセルとA・ウィルフォード・ブリムリーら。
南極基地に現れた地球外生命体の怪物と、それに立ち向かう隊員達を描いたSFホラーです。
1951年の映画「遊星よりの物体X」のリメイクとされていますが、というよりも原作となった短編小説「影が行く」の忠実な映像化となっています。
「遊星よりの物体X」のクリーチャーは人型の吸血エイリアンで、フランケンシュタインの怪物のようでした。
今回は蜘蛛のようでいて、なおかつ人に寄生して、見た目にはわからない感じに仕上げています。これによって登場人物がお互いに疑心暗鬼になり、人間同士が対立するという心理的要素も組み込まれた名作となりました。
「遊星からの物体X」作品紹介
監督:ジョン・カーペンター
脚本:ビル・ランカスター
原作:ジョン・W・キャンベル 「影が行く」
製作:デイヴィッド・フォスター / ローレンス・ターマン / スチュアート・コーエン
製作総指揮:ウィルバー・スターク
出演者:カート・ラッセル / A・ウィルフォード・ブリムリー / ドナルド・モファット / キース・デイヴィッド
音楽:エンニオ・モリコーネ
公開:1982年6月25日(アメリカ) / 1982年11月13日(日本)
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「遊星からの物体X」あらすじ
約10万年前、1基の円盤が地球の大気圏に突入する。
そして1982年、南極大陸。
一匹の犬が雪原を駆けていた。それを追う1台のヘリコプター。そのヘリコプターはノルウェー観測隊のもので、ヘリに同乗していた1人がライフルで何回も犬を狙うが、縦横無尽に走り回る犬にはなかなか当たらない・・・
ヘリはアメリカ観測隊の基地の近くで手榴弾を投下。その騒ぎで外に出てきた隊員の近くでヘリが着陸する。しかしヘリの運転手は手榴弾の誤爆で爆死、それがきっかけでヘリも爆発する。
ライフルを持ったもう一人がノルウェー語で何か言った直後、犬を抱いていた隊員に向かって発砲、その隊員は足に被弾してしまう。
それでもまだ犬に発砲する為、隊長のギャリーがやむなく射殺する。
何故、犬に発砲したのか原因を探るべく、ギャリーはヘリ操縦士のR・J・マクレディ以下数名とノルウェー隊の観測所に行くことになる。
ノルウェー隊の観測所は一部が燃えており、内部には死体と、何かが入っていたような、くり抜かれた巨大な氷柱の跡だけが残っていた。そして外には灯油で焼かれた人間なのか動物なのかわからない”何か”の焼死体があった。
その焼死体を解剖してみると、人間と同じ内臓が全て揃っており、しかも正常だった。しかしその姿は明らかに人間ではなかった。
逃げ込んできた犬はアメリカ隊の犬小屋に他の犬と一緒に入れられる。
しばらくするとその犬の頭が4方に裂け、胴体から蜘蛛のような足が生えてくる。触手のようなものも生えていた。
その姿はグロテスクな”何か”であり、どう見てもこの世のものではなかった。それを見て、怯えて鳴きまくる他の犬達。
駆けつけたマクレディたちは火炎放射器でそれを焼き殺す。しかしそれは触手に接触して変貌したアメリカ側の犬で、もともとの”何か”は天井へと逃げていった。
医師のブレアはそれを解剖し、その”何か”は目標を吸収すると、その目標の姿が同じものになる(同化する)特殊な生物だと判断する。
氷漬けのUFO
ノルウェー隊が残したビデオに、何かを見つけて、その周りを爆破させるシーンを見たマクレディたちは、その地点におもむく。そこには氷漬けになった巨大なUFOがあり、ノルウェー隊の観測所で発見した氷柱のと同じ形のくぼみを発見する。
医師のブレアがコンピューターで試算した結果、この同化が社会で起これば、27000時間で人類は全員同化されるという結論がでる。
その後、焼死体の犬の内部に残っていた血が隊員のベニングスを襲い、そして同化される。そのベニングスを灯油で焼き殺し、その死体をまた跡形もなく焼くマクレディ。
ブレアはこれ以上の同化を防ぐため、ヘリや雪上車を破壊し、生き残っていた犬を殺し、通信装置も破壊してしまう。ブレアが同化されていると思ったマクレディたちは彼を気絶させ、道具小屋に閉じ込める。
気がついたブレアから、「もう誰も信用できない」と言って、マクレディもその意見に賛同する。そして「飼育係のクラークに気をつけろ」と忠告を受ける。
この時点で、誰が同化しているのか?そしてそれは1人なのか複数なのかもわからない状態になり、皆がお互いに疑心暗鬼になっていく・・・
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「遊星からの物体X」感想
子供のころはただ怖いもの見たさだけで見ていましたが、改めて見ると人間の恐怖感や不信感などが上手く描かれている心理サスペンス的な要素もあったのだと再発見しました。
同監督の「ハロウィン」もそうでしたが、”心理的な怖さ”+スプラッターって最恐です!
その後の展開(ネタバレあり)
その後、次々と隊員がやられていきます。
血液検査(熱に弱いため、血液に熱した導線を当てると反応する)をクリアしたマクレディ、ギャリー、ウインドウスは道具部屋に閉じ込めていたブレアの血液検査に向かう。しかしブレアの姿はなく、道具小屋の地下には密かに作っていたと思われる小型のUFO があった。
観測所に残っていたもう一人、チャイルズが何故か外へ出て、その直後に発電機が何者かに壊され、本部の電気が落ちる。
UFOごと道具小屋をダイナマイトで爆破したマクレディたちは観測所内部も次々と爆破していく。
3人がそれぞれに爆弾をセットしに行っている時、ギャリーがブレアに襲われて死亡し、ウインドウスもいなくなってしまう。
その後、巨大な”何か”に襲われたマクレディは爆弾を爆発させ、観測所は炎に包まれる。
精根尽き果てたマクレディの前にいなくなっていたチャイルズが現れる。彼いわく「ブレアを見つけて追ったが見失った」と言う。
そして2人は何もせず、火が消えるのを待つのだった。
ここで物語は終わります。
エイリアンは全滅したのか?
ラストはマクレディがチャイルズに酒を渡してそれを飲むシーンで終わります。
チャイルズはエイリアンなのでしょうか?それともマクレディが・・・?
その考察をしているサイトから抜粋して紹介します
ラストシーンでは、マクレディ、チャイルズという二人の隊員が登場し、彼らが言葉を交わしたところで物語は終了します。
説① 二人とも人間
ラストシーンをシンプルに解釈する説です。
二人が言葉を交わすシーンからは二人の人間性が感じられますし、なにより片方がエイリアンなら会話をせずにさっさと襲ってしまえばいいわけです。
とはいえ「遊星からの物体X」では、エイリアンだと思っていなかった人がエイリアンだったというのが何回もあるので視聴者が疑り深くなるのも無理はありません。
そこで出るのが次からの意見です。
説② エイリアンはマクレディ
マクレディは全体を通して主人公的な役割が与えられているキャラクターで、エイリアンとも積極的に戦います。
そんな彼がエイリアンになってしまったというのはショッキングな話ですが、この説の根拠として**「エイリアンになった人間は瞳の光をなくす処理がなされており、ラストシーンのマクレディにも瞳に光が無い」**というものがあります。
とはいえ自分が見る限りマクレディの瞳に光があるように見えますし、そもそも「光をなくす処理」というのは映画の一部で導入されているものの、全体で行われているのかは不明瞭なようです。
説③ エイリアンはチャイルズ
ではもう片方のチャイルズについてはどうかというと、こちらは**「ラストシーンではチャイルズの吐く息が白くない、従ってエイリアンだ」**という説があります。
とはいえこれもよく映像を確認すると息が見えますので、根拠としては不十分でしょう。
自分の考察
自分の意見ではマクレディがエイリアンです。
理由として考えられるのが、マクレディがチャイルズに会った時に渡した酒瓶です。
エイリアンとの死闘を潜り抜けたマクレディが、もう一人の生存者チャイルズをねぎらうために酒を渡した、と考えられますが…
作中に登場するエイリアンについては**「一滴の液体からでも生物は吸収される」**と説明がされているのです。
つまりマクレディがチャイルズに渡し、チャイルズが飲んだ酒瓶の中にはエイリアンがいたとは十分に考えられます。
そしてなぜそんな回りくどいことをしたかというと、チャイルズはエイリアンに有効な武器である火炎放射器を持っていたのです。
うかつに正体を見せて襲い掛かれば殺されかねないため、搦め手を使ってチャイルズをエイリアンにしようとしたのではないでしょうか。
ちなみにゲーム版「遊星からの物体X episode2」というものがあり、ここでは映画のその後のストーリーが描かれるのですが、ここではチャイルズが人間、マクレディがエイリアンということになっているようです。
④おまけ 二人ともエイリアン
まあこういう可能性もありますね。
エイリアンが、相手がエイリアンか認識できるか?というのは作中では明らかになっていませんし。
これに関して、カーペンター監督は明言していません。「それぞれの結末を視聴者で考えて楽しんでください」ってことなんでしょうか・・・