「イニシエーション・ラブ」あらすじ 絶対に二度見たくなる、恋愛エンターテイメント作品

映画

今回は乾くるみの小説で、2005年版の本格ミステリ・ベスト10で第6位にランクインした話題作の映画化作品を紹介します。

小説では、カバーに「最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する」と注意書きがあり、「読み終わった後は必ずもう一度読み返したくなる」と銘打たれたほどのとんでもないドンデン返しがあり、この映画の冒頭でも、

 

本作には大きな”秘密”が隠されています。劇場を出られましたら、これから映画をご覧になる方のために、どうか”秘密”を明かさないでくださいね。

 

というテロップが流れて映画本編が始まります。

監督は「真田十勇士」「十二人の死にたい子供たち」の堤幸彦。主演は元AKBの前田敦子。

「イニシエーション・ラブ」作品紹介

監督:堤幸彦

脚本:井上テテ

音楽:Gabriele Roberto

撮影:唐沢悟

美術:相馬直樹

編集:伊藤伸行

音楽プロデューサー:茂木英興

配給:東宝

出演:前田敦子 / 松田翔太 / 亜蘭澄司 / 木村文乃 / 三浦貴大

「イニシエーション・ラブ」あらすじ(ネタバレあり)

 

1987年、舞台は静岡市。

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サイドA

静岡大学、理学部数学科の4年生で読書が趣味の鈴木夕樹(ユウキ)はメガネを掛けたぽっちゃり体型でファッションもダサい青年。

その彼がある日、友人から人数合わせのための合コンに誘われます。

7月10日、その合コンでユウキは成岡繭子と運命的な出会いをします。繭子の指には赤いルビーの指輪がありました。恋人の存在を聞く他のメンバーに、「誕生日に自分で買った」と繭子が答えます。

少しホッとしたユウキは大きな声で聞かれてもないのに自己紹介します。その後なぜかその繭子に気に入られ、二次会のカラオケにも一緒に行こうと誘われます。

7月17日、仲間から合コンメンバーと海水浴に行かないかとユウキは誘われます。繭子に会いたい夕樹はもちろん参加を決めます。

8月2日、合コンメンバーと海水浴に出かけます。海の家で1人でいたユウキに話しかける繭子。繭子から電話番号を教えてもらい、内心喜びます。

8月7日、勇気を振り絞って繭子に電話。その時に繭子がアパートで1人暮らしであることを知ります。そしてデートに誘われます。

8月14日、デートの終盤、繭子にコンタクトや髪型、服装を変えればもっとかっこいいのにと言われます。ユウキは自分が森村誠一などの推理小説が好きなことを教えると、自分も好きだと答える繭子。繭子は「今度、本を貸してください」とユウキに言います。

8月21日、ユウキは繭子の為にメガネをコンタクトに変え、カジュアルな服装で2回目のデートに向かいます。繭子はそれを見て喜び、「”夕樹”だから”タッくん”って呼んでもいい?」と言われます。この日からユウキはタッくんと呼ばれるようになります。

タッくんは前回貸してほしいと言われた本のハードカバー版を6冊ほど繭子に渡します。

8月26日、繭子から2日後に計画していたデートが体調不良だからキャンセルしてほしいという電話をもらいます。

9月4日、すっかり元気になった繭子から、「あれは実は便秘でお腹の調子が悪かった」と告白され、タッくんはホッとします。

9月15日、合コン仲間とテニスに出かけます。そこで繭子は他の男と仲よさげに話します。タッくんも少しぽっちゃり目の女の子から好かれますが、相手にせず、嫉妬してしまいます。

その夜、繭子から電話がかかってきます。繭子も同じように嫉妬していたと知ります。タッくんは意を決して繭子に告白します。すると繭子は「私も・・・。ねえ、家にきて・・・」と言われ、タッくんは愛車JOGに乗って繭子のアパートに行きます。そして2人は結ばれます。そこで繭子が言います。

「初めての相手がタッくんでよかった」と・・・

 

そして2人は付き合うことになります。

それから2ヶ月経った11月14日、タッくんは免許を取り、中古のミラクローゼに乗って初めての車でのデートを楽しみます。その帰り道、繭子は「クリスマスイブにホテルで食事してそのままお泊りしたいな」と独り言のように言います。

タッくんはホテルに電話しますが、通常は半年前から予約でいっぱいです。しかしダメ元でかけたホテルでたまたまキャンセルが出たため、予約することに成功します。

12月24日、タッくんは繭子の指に指輪が無いことに気づきます。繭子は落ち込んだ表情になり「どっかで失くしちゃったんだよね」と答えます。タッくんは「じゃあ、来年の誕生日に指輪を買ってあげるよ」と約束します。

タッくんはクリスマスプレゼントにペンダントをプレゼントします。繭子はエアージョーダンをタッくんに渡します。「男の人に何をあげればいいのかわからなかった」と少し申し訳なさそうに言う繭子。

そんな繭子が可愛くて仕方がないタッくんは喜び、スーツ姿にも関わらずエアージョーダンに履きかえます。それを喜ぶ繭子。その光景を見ていた他のカップルから、「なんか釣り合ってなくね?」という陰口を聞いてしまうタッくん。

タッくんは繭子と釣り合う男になるために、痩せていい男になろうと決意します。そしてそんな気持ちにさせてくれた繭子との出会いに感謝し、夜の公園で繭子が見てる中、エアージョーダンで飛び跳ねてみせるのでした。

 

飛び跳ねるタッくんのエアージョーダンにズームインし、それが少し汚れた同じエアージョーダンを履いたタッくんが朝にジョギングするシーンに移り変わります。

すっかりスマートになり、しかもイケメンに激変したタッくんが走っています。

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サイドB

6月19日、もともと決まっていた東京での就職を、繭子と出会ったことで東京行きを蹴り、地元の会社に就職していましたが、3年間の東京本部への転勤が決まってしまいます。繭子は悲しみますが「わがままは言わない」と言って我慢することを受け入れます。

タッくんは「静岡と東京は近いから、いつでも会えるよ」と言って慰めます。

7月1日、タッくんが東京に向かいます。

7月2日、タッくんは銀座で赤いルビーの指輪を買います。その日が繭子の誕生日だったため、その足で静岡に帰り、繭子に指輪をプレゼントします。「覚えててくれたんだ」と言って繭子は喜びます。

7月6日、東京本部初日に同じく新入社員の石丸美弥子と出会います。美弥子の美貌に驚き「これが東京か・・・・」と思うタッくん。2人はお互い同じ課に配属になり、同僚となります。

7月10日、新人歓迎会の飲み会で強引に美弥子に酒を勧める上司に注意するタッくん。それがきっかけで上司とタッくんは一瞬険悪ムードになります。しかし美弥子が間を取り持ってその場は収まります。

7月11日、タッくんは静岡に戻り、繭子とデートします。慣れない東京での暮らしと前日の上司とのいざこざでストレスが溜まっていたタッくんは「東京に帰りたい」と愚痴をこぼします。繭子がせっかく作ったロールキャベツも「食欲ないから・・・」と言って食べず、繭子はがっかりします。

7月13日、データの打ち込みが遅くて残業していた美弥子を不憫に思ったタッくんは徹夜覚悟でその仕事を手伝います。夜遅くまで手伝ってくれたタッくんに美弥子はお礼として仕事終わりに食事に誘います。

 

その後、タッくんは仕事が忙しくなり、繭子と海に行く約束もしましたが、なかなか静岡に帰れなくなります。

 

8月8日、久しぶりにあった繭子が日焼けしていたことに気づくタッくん。繭子は「友達と海水浴に行った」と答えます。

8月9日、繭子から「ここしばらく生理が来てないの・・・」と告白され、ものすごく動揺するタッくん。それでもタッくんは意を決して「もし、そうだったら結婚するか?」と言います。しかし親や親戚に婚前交渉があったことを知られることを嫌がります。

8月11日、会社でのランチ時に、それとなく好きだと美弥子から告白されるタッくん。しかし繭子と付き合っていて、しかも妊娠している可能性もあったため、とりあえず理由も言わず拒否をしますが、心は大きく揺れてしまいます。

8月23日、タッくんが静岡に戻って産婦人科に行く繭子に付き添います。そこで妊娠3ヶ月だったと聞かされます。

アパートに戻ったタッくんは高そうなハードカバーの本を数冊見つけます。お金を切り詰めて静岡と東京を行き来しているタッくんは激怒して、その部屋から出ていきます。

車で東京に戻る途中で冷静になったタッくんは繭子に電話し「もう逃げない」と伝えます。(子供を堕ろすことを決める)

8月30日、子供を堕ろし、産婦人科から出てきた繭子を優しく包容するタッくん。

9月4日、大きな仕事を上げたその日に美弥子から飲みに誘われたタッくん。酒の席で彼女がいることを美弥子に告白します。

その時に美弥子は元彼から別れのときに言われた「お前にとって俺はイニシエーション(通過儀礼)だった」という言葉を引用し、タッくんと繭子の関係が「イニシエーション・ラブ」であれば自分にもまだ望みがあるのかな?と告げられる。

酔っ払っていた美弥子に強引に誘われてラブホテルに入ってしまい、2人は体の関係を持ってしまう。繭子がいたタッくんは罪悪感を持つが「遊びでいい」という美弥子に甘え、付き合うようになる。

 

それからタッくんは繭子と会う機会が減り、代わりに美弥子と会う機会が増えていった。

 

10月31日、繭子の部屋で、つい「なあ美弥子・・・」と間違えて呼んでしまうタッくん。それがきっかけで2人は険悪なムードになり、タッくんは別れを告げてその部屋から出ていった。

11月4日、タッくんの元に繭子からルビーの指輪が送り返されてくる。

11月14日、美弥子から「クリスマスイブに両親と一緒に食事してほしい」と言われる。その時、イブに繭子と約束していたことを思い出し、予約していたホテルをキャンセルする。

12月18日、飲み会の後に酔っ払って帰ってきたタッくんは美弥子に電話しようとする。しかし間違えて繭子にかけてしまう。電話の声を聞いて、はじめて間違ったことに気づいたタッくん。「どなたですか・・・?タッくん?」と言った時に慌てて電話を切るタッくん。

12月24日、美弥子の両親との食事を終え、美弥子の部屋でお茶を飲むタッくん。

タッくんは間違えてかけた繭子への電話のことが気になっていました。もう別れて2ヶ月も経つのに、いつもの様子で「タッくん」と言われたことに。

もしかして繭子は別れたことを認識していないのではないか?もしかしてキャンセルしたホテルに行くのではないか?そんなことを考えているうちに繭子への思いが再燃して来るタッくん。

美弥子には「ちゃんと別れてくる」みたいなニュアンスで伝えて静岡に向かいます。

タッくんを気に入っていた美弥子の父親が「鈴木くんはどうしたんだい?」と聞きます。母親から「あなた、鈴木くんなんてよそよそしいいじゃない」と聞かれた父親は、美弥子にタッくんの下の名前を聞きます。

「あの人の名前は鈴木・・・タツヤよ!」と少し怒った感じで答える美弥子。

 

タッくんがホテル前の公園にたどり着きます。そこには案の定繭子が1人で立っていました。

タッくんはなぜか嬉しくなって駆け寄ろうとしますが、その寸前に他人とぶつかってしまい、転げてしまいます。

 

繭子はタッくんに気づかず、同じく転げてしまったもう一人に笑いながら駆け寄ります。「もう、何してるのタッくん!」

??・・・

わけがわからないタッくんに振り返り「大丈夫ですか・・・」と言って繭子は初めてそれがタッくんであることを認識する。

タッくんの目線の先には繭子がおり、さらにその先にはぽっちゃり体型のタッくん(ユウキ)がいた・・・・

 

そこで時間が巻き戻り、今までの経緯がラスト5分でダイジェストで流れます。

 

「イニシエーション・ラブ」感想

 

予告編で「騙される!二度見たくなる!」と言われたので、注意深く見ていたのですが、結局騙されました。

確かに二回目見れば、「なんで気づかなかったんだろう」という部分はいっぱいありました。しかしストーリー構成がほぼ完璧であり、きちんとつじつまが会うようになっていたため、逆に作りの良さに感動してしまった次第です。

 

 

トリックがお分かりになりますでしょうか?

サイドA〜サイドBと見せられましたが、実際の時系列はサイドB〜サイドAとなるんです。

私たちはぽっちゃりユウキが半年かけてスリムになったのだと思い込まされたのです。しかし実際にはタッくんが2人おり、繭子は2股していたという事実を最後に知ります。

わかりやすいように日付は赤文字(タツヤ)青文字(ユウキ)にしてみました。

 

読むのが大変な方のために、時系列をまとめます。ちなみに始めの方は、ラストで明かされたタツヤと繭子の出会いなども加えています。

 

時系列まとめ

1986年4月25日タツヤが合コンで繭子と出会う。

8月2日、「名前がタツヤだから”タッくん”って呼んでいい?」と言われ、タツヤと繭子は付き合い始める。

1987年2月4日、タツヤの誕生日。「男の人に何を買っていいのかわからない」とエアージョーダンをプレゼントされる。その際に「私の誕生日は7月2日、私の誕生石はルビーだよ」と教えられる。

当時、寺尾聰の「ルビーの指輪」が大ヒットし、プレゼントにルビーの指輪を贈ることが一種のステータスになっていました。

4月1日、タツヤが地元の会社に就職。

6月19日、転勤を命じられる。(ここからサイドBが始まります)

 

サイドBで走っているタツヤが自分の車にたどり着きます。その車は半年前に乗っていたシルバーのミラクオーレではなく、赤のスターレットでした。

買い替えたのかと思っていましたが、今考えると半年で買い換えるのも不自然でした。

 

7月2日、タツヤが銀座で買ってきたルビーの指輪を贈ります。「覚えててくれたんだ・・」はクリスマスイブにユウキが言った「来年の誕生日に指輪を買ってあげる」のことだと観客は勘違いする。

7月6日タツヤと美弥子が出会う。

その後、日付は不明ですが、タツヤの同僚と美弥子の友達が合コンします。その時に同僚はタツヤが理学部物理科出身であると言っています。ここでタツヤが数学科出身のユウキではないと気づくべきでした・・・

7月10日、合コンでユウキが繭子と出会う。赤いルビーは自分が買ったと繭子は嘘をつく。(サイドAが始まる)

7月11日、繭子とタツヤがデート。

8月2日、繭子とユウキ、合コンメンバーが海水浴に行く。

8月8日、タツヤが繭子の日焼けに気づく。繭子は「友達と海水浴に行った」と言う。

8月9日、タツヤに「生理が来ない」と告白。

8月14日、ユウキが繭子と初めてのデート。

8月21日、ユウキとの2回目のデート。ハードカバーの本を借りる。

8月23日、妊娠3ヶ月と判明。アパートでユウキから借りていたハードカバーの本を見て、無駄使いしていると勘違いしたタツヤが激怒。何も言えない繭子は謝るも、タツヤが部屋から出ていってしまう。

8月26日、妊娠して調子が悪かった繭子がユウキに電話してデートをキャンセル。

8月30日、子供を堕ろす

9月4日、ユウキに「便秘して調子が悪かった」と嘘をつく。

9月15日、繭子とユウキが結ばれる。その際に繭子がユウキに言った「初めての相手がタッくんでよかった」は嘘。(しかしある意味ホント)

10月31日、繭子とタツヤが破局

11月4日、タツヤのもとにルビーの指輪が送り返される。

11月14日、タツヤがクリスマスイブのホテルの予約をキャンセルする。その直後にユウキがホテルに電話したため、予約がとれる。

そして12月24日、ユウキにタツヤと同じエアージョーダンをプレゼント。繭子は指輪をタツヤに返したため、「どこかで失くしちゃった」と嘘をつく。そのころタツヤは東京から静岡へ爆走中。

そして3人が鉢合わせとなる。

 

そしてラストです。タツヤもユウキも、繭子が相手をタッくんと呼んでいることに驚きます。

それでも繭子はタツヤに向かって「どうしたの?タッくん」と言って微笑みます。

 

ここでエンドロールが流れます。

 

もう・・・ラストの繭子の微笑みは怖くて鳥肌がたちました(笑)。

 

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