「大統領の執事の涙」あらすじ 7人の大統領に仕えた執事の苦悩とは・・・

映画

召使だった父を、雇い主の白人の息子によって殺された息子が選んだ職業は執事だった。

1988年の「バード」でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞し、2006年の「ラストキング・オブ・スコットランド」ではアカデミー賞主演男優賞やゴールデングローブ賞 主演男優賞を初め各映画賞の主演男優賞を独占した実力派俳優のフォレスト・ウィテカー主演のヒューマンドラマです。

 

「大統領の執事の涙」作品紹介

監督:リー・ダニエルズ

脚本:ダニー・ストロング

原作:ウィル・ハイグッド

制作:ローラ・ジスキン / パメラ・オアス・ウィリアムズ / リー・ダニエルズ / バディ・パトリック / カシアン・エルウィズ

出演:フォレスト・ウィテカー / オプラ・ウィンフリー / デヴィッド・オイェロウォ 他

公開:2013年8月16日(アメリカ) / 2014年2月15日(日本)

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「大統領の執事の涙」あらすじとネタバレ

綿花を作っている農場主の元で働いていた黒人の少年セシル・ゲインズ。

その農場で召使(奴隷)として働いていた母親が農場主に犯される。ほぼ奴隷として雇われていた黒人たちは何も言えない時代だったが、父は勇気を出して農場主に反抗する。

その農場主に父が拳銃で’殺され、不憫に思った農場主の母親は比較的仕事が楽な屋敷の給仕として働く。

この時代の黒人の差別はひどく、白人は黒人を殺しても罰せられなかった。

この事件が元で母は廃人と化してしまう。

 

その農場を出て、1人で生きていくことを決めたセシルだったが、仕事はおろか、食べていくことも難しかった。

バーの店内にあったケーキに目がくらみ、不法侵入してケーキを盗み食う。そこで働いていた黒人の中年バーテンダーに見つかってしまうが、給仕ができることを言うと、バーテン見習いとして雇ってもらえることになる。

そこからさらにバーテンダーとしての基礎を習ったセシルはワシントンにある高級ホテルの給仕係の仕事を紹介される。

この頃になると、セシルは客が黒人を馬鹿にする発言を聞いても、何食わぬ顔をして、まるでその空間に溶け込むように、そしてスマートに働いていた。

 

セシルはメイドだったグロリアという女性と結婚し、2人の息子に恵まれる。

 

そのホテルでウォーナーというホワイトハウスの事務主任を給仕したのがきっかけで、セシルはホワイトハウスの執事となる。

そこでセシルは「見ざる聞かざるで給仕する」という精神で務めるようになる。

アイゼンハワー政権

最初に給仕したのは、ドワイト・デビッド・アイゼンハワーだった。

 

アイゼンハワーは黒人学生への襲撃を抑えるために軍隊を派遣する。(リトルロック高校事件)

 

リトルロック高校事件とは・・・

1957年に、ブラウン対教育委員会裁判の判決以降も白人しか入学させていなかったアーカンソー州立リトルロック・セントラル高校への9人の黒人学生の入学を、再選のための白人票稼ぎを目論んだ白人至上主義者のオーヴァル・フォーバス州知事が拒否し、「白人過激派による襲撃事件が起きるという情報があるので学校を閉鎖する」という理由をつけて州兵を召集し、学校を閉鎖して黒人学生の入学を妨害するという事件が起きた。

これに対してアイゼンハワーは、フォーバス州知事に事態の収拾を図るよう命令したが、この命令が無視されたため、急遽アメリカ陸軍の第101空挺師団を派遣し、入学する黒人学生を護衛させた。

引用:Wikipedia

そんな状況にも関わらず、セシルの長男ルイスは、まだ差別が厳しい遠くの南部地方の大学に入学する。

そこでルイスはキャロル・ハミーという女の子と知り合う。

キャロルは人種解放運動に積極的で、ルイスもそれにのめり込んでいく。ルイスたちはダイナーで白人専用の席にわざと座り、無言の抵抗をする。しかし白人たちからはけなされ、殴られ、熱いコーヒーなどでやけどさせられ、しかも逮捕されてしまう。

勝手な行動をするルイスをセシルは叱る。

 

ケネディ政権

この頃になるとセシルの家庭状況は深刻で、ルイスは数々の解放運動などで何度も逮捕され、ようやく留置所から出たものの、フリーダムライド運動を通して人種差別開放運動を続ける。

グロリアは夫のセシルが滅多に自宅に帰ってこないため、酒をあおり、いつも酔っ払っては嫌味を言う毎日だった。

 

ある日ルイスの乗ったフリーダムバスがKKK(白人史上主義者の秘密結社)に襲われ、またしても留置所に入れられてしまう。電話で「帰ってこい」というセシルに対しルイスは「国民の義務だ」と言って聞く耳をもたなかった。

黒人が迫害されているニュースを聞いて苛立ちをみせるケネディを複雑な思いでみつめるセシル。

ケネディは「黒人たちの苦悩をわかっていなかった」とセシルに言う。そして黒人に対する人種差別を撤廃する法案や運動に積極的になる。

しかし1963年11月22日、ダラスで暗殺されてしまう。

嘆き悲しむセシルにケネディの妻・ジャクリーヌは形見としてネクタイを渡す。

セシルは妻グロリアに寂しい思いをさせていたことを反省し、グロリアも酒を飲むのをやめる。

 

ジョンソン政権

ベトナム戦争が激化していく中、長男ルイスはますます解放運動にのめり込んでいく。

マルコムX、キング牧師が暗殺され、ルイスと恋人のキャロルは当時、活動を活発化していたブラックパンサー党に入る。ルイスがシドニー・ポアチエを「白人に媚びへつらう黒人」と言ったりしたのが我慢できなくなったセシルは激怒し、「家から出て行け!」と言い放つ。

 

ある日セシルは事務主任のウォーナーに黒人給仕たちの給料や役職の改善を訴えるが棄却される。

 

ニクソン政権(第1期)

セシルの次男のチャーリーはベトナムへ出兵する。

ルイスは次第にエスカレートしていくブラックパンサー党の方針に疑問を抱き、党を離れる。

そんな時、ニクソンはブラックパンサー党の排除を始める。

妻のグロリアの誕生日、金の無心で電話してきたルイスに冷たい言葉を放ち電話を切るセシル。その直後、家のインターホンが鳴り、玄関先には次男チャーリーの戦死を知らせに来た軍人が立っていた。

葬儀にルイスの姿はなかった・・・

ニクソン政権(第2期)

大学を卒業し修士号をとったルイスが訪ねてくる。しかしセシルは「話すことはない」といって追い返す。

その後、ルイスに会うこと無く、絶縁状態が続く。

そんな時、ルイスは政治家になるべく立候補するが落選してしまう。その選挙結果を気になっていたセシルにグロリアは、「チャーリーが死んだ時に酔いつぶれてしまって失禁していたのをキレイにしてくれた」と、ルイスが葬儀の夜にこっそり自宅に来ていたことを告白する。

レーガン政権

セシルは大統領の力を借り、黒人スタッフの給料アップと役職を勝ち取る。大統領夫人のナンシーに褒められ、晩餐会の客としてグロリアとともに招待される。

晩餐会でセシルは給仕される側になり、気分が落ち着かない。

ルイスが積極的にしていた黒人解放運動の書籍が多く出版される。セシルはそれを読みながら、ルイスが今までやってきたことは間違いではなかったことに気づき、初めてルイスという人間の本質を理解する。

それから急に給仕の仕事にやりがいを見いだせなくなるセシル。

 

セシルは執事を辞め、ルイスと和解。2人はともにデモに参加し、案の定捕まってしまう。しかし2人に後悔などはなかった。

 

オバマ政権

セシルもグロリアも年をとり、セシルは足を引きずり、グロリアは酸素ボンベを付けていた。

ルイスは議員として、セシルは一般人としてともにオバマの選挙を応援する。そのさなか、妻のグロリアは眠るように息をひきとる。

オバマ政権となり、面会が許されたセシルは案内人の介助を断り、胸を張って大統領執務室へ歩いて行く。

 

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「大統領の執事の涙」感想

 

題名から、大統領と執事の友情とかの話だと思いこんでいましたが、これは執事の家族を描いたファミリードラマでした。

ここまで家族寄りなのは意外でしたが、最後は少しホロっとしてしまい「家族っていいな」と思ってしまいました。

そしてセシルとルイスの物語でもありました。

父親を殺されたのは、「母親を助けてほしい、ちゃんとそのことを訴えてほしい」と父親に言ったことが原因だと思ったセシルはその後、争いを避けるために生きていきます。でも息子のルイスは子供の頃のセシルのように、いやそれ以上に白人に対して敵意むき出しです。

でもルイスのしていた解放運動が次第に黒人への差別を薄れさせ、最後には黒人大統領が誕生します。

ルイスが大学まで行けたのはセシルが執事として頑張ったからですが、セシルもまたルイスのおかげで黒人スタッフの給与や地位の向上の要因となっています。

 

切っても切れないのが家族なんですね。

 

 

この作品には多くの有名人がチョイ役で出ています。

 

セシルの母親(農場主に犯され、廃人になる)はマライヤ・キャリー。

執事の同僚のホロウェイはレニー・クラヴィッツ。

アイゼンハワー大統領は「ナイトミュージアム」でルーズベルト役をしたロビン・ウィリアムス。

(そういえばこの時の悪い警備員3人のリーダーの名前はセシル)・・・関係ないけど(笑)

レーガン大統領は「ハリーポッター」でスネイプ先生役のアラン・リックマンでした。(これは気づかなかった!)

 

余談ですが、ルイスがキャロルと自宅に来た際、「夜の大捜査線」のシドニー・ポアチエを馬鹿にし、帰ったあとにチャーリーが出ていった2人に「招かれざる客だ!」というシーンがあります。

「夜の大捜査線」とは

ある殺人事件が起き、それを担当する腕利きの黒人刑事がシドニー・ポワチエ。

そして彼とことごとく捜査に対立する白人の人種差別的な町の警察署長との不器用な友情を描いた話です。

 

「招かれざる客」とは

これもシドニー・ポワチエ出演で、彼が演じる黒人青年と白人女性の結婚を巡る双方の家族の葛藤を描くお話です。

 

 

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