ある町に引っ越してきた6人の住人は元殺人者だった!
そんな奇想天外な原作漫画の映画化。主演の錦戸亮のイケメンなのに、なぜかそうではないイメージに見せる演技を中心に演技派俳優が多数出演する「羊の木」を紹介します。
羊の木 吉田大八監督
過疎の魚深市で地方に保釈できる殺人の受刑者6人を移住させ、正業につかせ過疎対策&更生利用する為住み着くが、時間が経つごとにほころびが出始める。。。酒を飲んだ時に本性が出たり面白くないと札付き出すのが居たり。最後の像の直撃以外はリアリティがある。それだけ残念 pic.twitter.com/WRspTcGdOL
— たつぼうβ (@junklandZ) January 5, 2021
「羊の木」作品紹介
監督:吉田大八
脚本:香川まさひと
原作:山上たつひこ / いがらしみきお
製作:井手陽子
出演:錦戸亮 / 木村文乃 / 北村一輝 / 松田龍平 / 優香 他
公開:2018年2月3日

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「羊の木」あらすじ(ネタバレも含みます)
市役所職員の月末はじめ(錦戸亮)は、魚深市に新しく入ってくる6人の住民の受け入れの担当に任命される。
その6人はいずれも元受刑者で仮釈放中。受刑者たちは税金で暮らしているため、仮釈放を早めようとする国の極秘更正プロジェクトの一環であり、この事を知っているのは月末と市役所内の数人だけだった。
最初に迎えに行った福元宏喜は気弱そうな中年男性。彼は初めて入った中華料理屋でラーメンなどをすごい勢いで食べ始める。
その彼の受け入れ先は床屋だった。
2人目は太田理江子(優香)。30代くらいのキレイな女性であり、月末は彼女の豊満な胸につい見とれてしまう。理江子は月末の父が行っているデイサービス型老人ホームに勤務することになる。
3人目は栗本清美(市川実日子)。大田と同じくらいの年齢だが地味、常に無表情で荷物を包んでいた新聞紙をきれいにたたんでいた。彼女は清掃サービスの会社で働くことになる。
4人目を迎えに行った先は刑務所。そこから出てきた大野克美(田中泯)は左目に大きな切り傷の跡がある老いたヤクザだった。彼はクリーニング店で働くことになる。
Amazonプライムで『羊の木』観た。私好みの映画だった。原作をかなりアレンジしてるみたいだけど、いがらしみきお感、ばっちり出てると思う。
絵は大野克美ってキャラ。顔が良い。 pic.twitter.com/71nW6swLQh
— 青9HP (@ao9hp) October 2, 2019
5人目、杉山勝志(北村一輝)は40代くらい。漁師となるが更生している感じには見えない。
6人目、宮腰一郎(松田龍平)は月末と同じくらいの年齢で人懐こく、そんな彼と月末は交流を持つようになる。彼は宅配業の仕事につく。
不審死
6人を受け入れて間もなく、海岸で男性の変死体が発見される。その男性の頭は誰かに殴られたような跡があった。その現場で月末は少しほくそ笑んでいるような表情の杉山を見かける。
杉山は傷害致死で捕まっていた過去があり、月末は杉山を少し警戒する。
しかしその後、亡くなった男性は釣りの最中に脳梗塞となり、頭の傷も倒れたときについたものだと判明する。
魚深市の岬には「のろろ様」と呼ばれる銅像が祀られていた。
これにはある伝説があった。
その昔、邪悪なものだったのろろが住民によってその岬から海に落とされて死ぬ。
そして、のろろの怨念を沈めるために祭りの日には2人の人間が生贄として海に飛び込む。
しかし1人は必ず助かり、1人は海のもくずと消えていく。
住民の中にはのろろ様の像をあまり見てはいけないとの言い伝えが残っており、月末もあまり見ないようにしていた。
のろろ祭り
祭りの日、福元が酒を飲みすぎて暴れだす。彼は自分をいじめていた上司を酒の席で殺してしまい、仮釈放後、お酒を飲まないようにしていた。しかし祭りで清めるためだと言われて飲んでしまったのだ。
そんな福元を後ろから蹴り倒し、羽交い締めにする宮腰をみて、杉山は彼が自分と同じ犯罪者だと気づく。
宮腰の過去
市役所に目黒という少し年老いた男が祭りの記事に載っていた宮腰の写真を見て訪ねてくる。「息子がお世話になったからお礼を言いたい」という目黒だったが、市役所の部長はプライバシーとして教えることはなかった。
目黒は町の住民に片っ端から聞きに廻り、杉山にも宮腰のことを尋ねる。
杉山によって居所がわかった目黒は宮腰に会いに行く。
自分の息子の名前を言っても気が付かない宮腰ともみ合いになるが、その後、目黒は殺されてしまう。
それを遠くから見ていた杉山。
宮腰は過失致死で実刑を受けていた。(過失致死では執行猶予がつくことが多い)
執行猶予がつかなかったのは、それ以前に未成年で犯罪を犯していたためではないかとの同僚の指摘で、宮腰のことを疑い始める月末。
杉山に目黒を殺したところを見られ、脅された宮腰は宅配の車で杉山を轢き殺す。
のろろ様の怒り
その夜、月末の自宅でギターの練習をしていた宮腰。
月末に少年院のことを聞かれた宮腰は「岬に行こう」と誘う。
岬で目黒や杉山を殺したことを告白する宮腰。「警察に行こう」という月末に「もともとこういう人間なんだから刑務所に行っても意味がない。それなら岬から飛び降りてどっちが生き残るか、のろろ様に決めてもらおう」と言って、月末の手を引っ張り、2人は海に落ちていく。
宮腰は死なず、海から顔を出す。しかしその時に起きた地震でのろろ様の銅像が崩れ、顔の部分が宮腰に直撃し、宮腰は海に沈んでいく。
そのすぐあとに月末が海から顔を出して、警察に救出される。
「羊の木」感想
最後に松田龍平さんが出たところで、「松田龍平さんはなんかやりそうだな、北村一輝さんは殺されそうだな・・・」なんて思ってたら大当たりでした!
本文には書いていませんが、北村さん演じる杉山と松田さん演じる宮腰以外の4人のそれぞれの物語も語られています。
市川実日子さん演じる栗本清美さんが、海岸を掃除中にサビだらけの皿を見つけます。その皿には立派な木の枝から生えている羊の絵。「羊の木」という題名の元になっていると思うのですが、これがどのような意味なのか?このあたりは漫画を読んでみないと、よくわからないのかもしれません。
もともと木から羊が生えてくることはありません。
描かれた木の枝は枯れていた部分もありました。
でも他者である異物が社会に根づいて、いずれ実をもたらす。
そんな希望もあるということを描きたかったのではないでしょうか?
実際にほかの4人はそれぞれに居場所を見つけて、幸せに暮らしていくような描写がラストで描かれています。
こういう解釈するのが一番しっくり来るのではないかと思います。