生田斗真主演、筒井哲也による漫画の映画化です。
法では裁けない人間たちを次々と制裁していく犯人と、エリート女性捜査官の攻防の行方は・・・
「予告犯」作品紹介
監督:中村義洋
脚本:林民夫
原作:筒井哲也
製作:辻本珠子 / 久保田修
出演者:生田斗真 / 戸田恵梨香 / 鈴木亮平 / 濱田岳 / 荒川良々 / 坂口健太郎 他
公開日:2015年6月6日
「予告犯」動画配信情報(2022年7月26日時点)
2022年7月26日時点で「予告犯」を視聴できる動画配信サービス(見放題)は、dTV のみです。
「予告犯」あらすじ(ネタバレあり)
ネットカフェの一室から投稿されたと思われる動画が話題になっていた。
新聞紙で作った被り物をした男が「明日の予告を教えてやる」と言って、今まで3件の特定の企業、個人に向けての犯行予告のような動画をあげていた。
標的になったのは。いずれも不祥事を起こしながら、それに見合うだけの制裁を受けていない者たちだった。
そして犯行はことごとく実行されていった。(死者は出ていない)
捜査開始
警視庁のサイバー犯罪対策課のリーダーで、美人だが男勝りの吉野絵里香は、人情派刑事の岡本大毅、ITに詳しい若き刑事の市川学と組み、捜査を始める。
過去の3件から、発信元は首都圏を中心に系列店があるネットカフェ「ピットボーイ」から投稿されていることが分かった。しかし、同じ系列店の別店舗から送信されるように細工されており、送信元は割り出せないでいた。
元プログラマーで派遣社員だった奥田宏明は吉野たちが捜査している現場を遠くから見つめ「意外と早かったな」とつぶやく。
奥田はネットカフェの部屋に入り、新聞紙で作られた被り物をかぶる・・・
第4の予告
新聞男(奥田)は第4の予告動画を出す。内容は、33歳の専門学校卒業の男がネットサービスを運営する会社に面接に来た際に、その様子をSNSで実況投降し、その男をバカにしている面接官・田端正義に制裁を加えるというものだった。
吉野と岡本は他の刑事たちと田端のマンションに向かう。その間に田端がバットで殴られている動画がライブで流れていた。
田端の部屋にはその動画を流しているPCしかなかった。市川の情報で、半径100メートルを捜索し、あるアパートの一室に田端が顔が血だらけのなっているのを発見する。金属バットと思われていたものは、子供が遊びで使うプラスティック製のバットだったため、大事には至らなかった。
その後の調べで、田端をバットで殴った男、そして過去3件の事件の中でニュースに映っていた男、被害者が会った男、すべてが体型も身長も違う別人であることが判明する。
奥田たちの過去 その1
3年前、派遣社員として働いていた奥田はそこの社長にバカにされ、周りの同僚も影で悪口を言われていることを知り、ストレスで胃潰瘍になり入院。
それが原因でクビになり、職を探していた。
日雇い労働の仕事を紹介してやるという関西弁の男・葛西智彦と出会い、その現場でメガネをかけたニートで無口な男の木村浩一、ぽっちゃり体型の男の寺原慎一 、痩せたフィリピン人で日本人の父親を探すネルソン・カトー・リカルテと出会う。
ネルソンは以前ネットカフェで勤めており、その店が閉店した時に拾ったセキュリティキーを持っていた。それを解読した奥田は周りから”ゲイツ”というあだ名で呼ばれるようになる。奥田はそのお返しに、葛西を”カンサイ”、寺原を”メタボ”、木村を”ノビタ”、ネルソンを”ヒョロ”と名付ける。
そこでの仕事場は冷酷な責任者のもと、過酷な労働条件だったが、友だちになった5人は仲良く頑張っていた。
奥田は数字の計算を教えてほしいというネルソンに、例としてネルソン自身の給料の計算方法を教える。しかしネルソンはその金額をもらってはいなかった。
「騙された・・・僕、頭悪いから」というネルソンに、「お前は頭悪くないよ、教育を受ける機会がなかっただけ」と奥田は優しく慰める。
第5の予告
ネットカフェで発信していた場所が特定し、その部屋を使った奥田の顔が防犯カメラに映し出される。奥田は受付の紙にネルソン・カトー・リカルテと書いて部屋を借りていた。しかし入国管理局にその名前の人物が出入国している記録は残っていなかった。
そんな時、「品川駅で人を殺す」という、新聞紙をかぶった男の投稿が発信される。
これまでの予告動画について、衆議院議員の設楽木匡志はワイドショーでこの状況について話し、「匿名の掲示板を潰したほうがいい」と主張する。その意見についてのアンケート投票がリアルタイムで表示され、設楽木の意見は賛成票が集まっていた。
それと同じ頃、第5の予告が発信される。
ターゲットは設楽木匡志であり、24時間以内に彼を抹殺するというものだった。翌日に設楽木がイベントに出席予定だと知った警察は厳重な警備を敷く。
奥田がネット配信のためにネットカフェへやってくる。店員の青山祐一はそれが指名手配されている奥田だと気づく・・・
イベント会場で起きたのは抹殺ではなく、ある会社がアンケート投票を操作しているときの映像が流されるだけだった。
その動画を流している場所を特定した吉野たちは、ネットカフェから逃げる新聞紙をかぶった男を捕まえる。吉野は追跡の際に奥田を見かけ、彼を追跡する。
下水道に逃げ込んだ奥田に対して吉野は、知り合いに給食費も払えないほど貧乏だったが、いまは社会人として頑張っている人間がいる事を例にして、「全部、社会のせいにしているあなたのことは認めない」と言い放つ。すると奥田は「あなたにはわからない!」と返答する。
(例に出した人間とは吉野本人のこと)
そして新聞紙をかぶった男は逮捕される。その人物は青山だった。奥田と同じように派遣会社だった彼は奥田を逃し、自らが囮になったのだった。
奥田たちの過去 その2
仕事の現場でいきなり倒れたヒョロ。彼は腎不全に侵されていた。ヒョロは日本に来るお金を工面するために自分の腎臓を半分売っていた。
その後ヒョロは死亡する。
ヒョロの遺体の周りで悲しんでいた奥田たちの前に現場責任者が来て、スコップをヒョロの遺体の上に投げる。そして「腐る前に埋めとけ」と言い放った。キレたメタボはそのスコップで責任者の頭を殴る。苦しむ責任者を更にスコップで殴ろうとすると奥田が一旦止める。
「止めるな」というメタボに「止めないよ」と言って奥田もそのスコップで殴る。カンサイ、ノビタも殴り、現場責任者は死亡する。そしてさらに現場の事務所を焼いた奥田たち。
奥田は一緒に連れてきたヒョロの遺体に向かって「腎臓を売ってまで来たかった国がこんなんでゴメンな」と泣きながら謝る。
捕まったら死刑だと思っていたメタボにカンサイは、銃弾型のペンダントを見せる。音楽活動していたカンサイがバンドを解散した日、自殺願望の強いファンの1人から致死量20人分の青酸カリが入ったこの銃弾のペンダントをもらったと告白する。
奥田は「どうせ死ぬくらいなら、何かやれるんじゃないのか・・・」と言う。
第6の予告
奥田は最後の予告として、自分たち4人の処刑を宣言。それをネットで生中継すると予告してくる。
予告を終えたネットカフェの店員だったカンサイと一緒に出ていく奥田。受付には奥田宏明と実名が書かれた紙を置いていった。
メタボ、ノビタと車で合流し、どこかへ向かっていく。
4人の本名が判明し、奥田の過去をたどる吉野。
派遣で働いていた会社の人間は覚えてないと言い、ハローワーク、日雇い仕事を斡旋した男も奥田たちの事を覚えていなかった。
奥田は両親が離婚し、経済的に困窮、給食費も払えない状態だったこともわかってきた。
自殺の配信をする前に話しをする奥田たち4人。「もし生き残ったらどうする?」の質問に奥田は「死んだ人間のせいにすればいいさ」と言う。
その頃ヒョロの父親が、印刷会社をしている加藤という男であることが判明し、加藤が今回の事件の首謀者ではないかと思った警察は、その会社に向かう。
しかし加藤は何も事件に関係していなかった。
奥田たちは最後の配信を始める。奥田はカンサイからもらった青酸カリでカプセルを作り、他の3人に渡す。そしてそれを一斉に飲む4人・・・
吉野たちが奥田たちを見つけた時、奥田は死んでいたが、ほかの3人はかろうじて生きていた。奥田が持っていたスマホには、吉野へのメッセージが入っており、今回の事件は、ヒョロの父親を探すため、それには警察を動かさないとわからないからわざと騒ぎを起こしたこと、そしてヒョロの骨を父親(加藤)に渡してほしいとの奥田の言葉が動画で綴られていた。
そして自分がすべて計画し、ほかの3人は脅されただけのように見せる動画を奥田はこっそり撮っていた。それを見せられて表情に出さないものの驚く3人。
そして3人はすべての騒ぎを奥田がやったと自供する。
ヒョロが埋められている現場で「踊らされてやろうじゃないの、最後まで」と微笑む吉野。
「予告犯」感想
いやー、予想外に感動してしまいました!奥田がヒョロたち4人と会うあたりで「あ、このタイプの話やばいかも・・・」と思っていましたが、やはり泣けずにいられません。
キレイにまとまりすぎているし、ラストに奥田が自分を犯人にするかのような動画を撮る所は、ちょっとやり過ぎな感じもしますが、たまにはこうした王道の終わり方もいいものですね。
少し元気が欲しい時、少し癒やされたい時に見るといいかもしれません。
この作品には続編があります。WOWOWで5話に渡って放送された「予告犯 THE PAIN」です。
今作の1年後を描いた物語で、主演は東山紀之さん、そして戸田恵梨香さんも吉野役で再登場します。
これは次に紹介します。