「ヒトラーへの285枚の葉書」あらすじとネタバレ ささやかながらも抵抗を続けた老夫婦の運命

ドラマ(洋画)

実際の起こった事件をもとに、ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの文書記録から終戦直後に書き上げた遺作の小説「ベルリンに一人死す」の映画化です。

 

「ヒトラーへの285枚の葉書」作品紹介 

監督:ヴァンサン・ペレーズ

脚本:ヴァンサン・ペレーズ / アヒム・フォン・ボリエス / ベティーネ・フォン・ボリエス

原作:ハンス・ファラダ「ベルリンに一人死す」

製作:シュテファン・アーント / ウーヴェ・ショット / マルコ・パッチオーニ / クリスティアン・グラス / パウル・トライビツ / ジェームズ・シェイマス

出演者:エマ・トンプソン / ブレンダン・グリーソン / ダニエル・ブリュール 他

公開:2016年9月8日(ドイツ) / 2016年11月23日(フランス) / 2017年3月10日(イギリス) / 2017年7月8日(日本)

製作国:ドイツ / フランス / イギリス

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「ヒトラーへの285枚の葉書」あらすじ(ネタバレ有り)

1940年の初夏のドイツ、街はフランス占領の知らせで賑わっていた。ベルリンでアパート暮らしをしていたアンナ・クヴァンゲルと機械工場に勤めるオットー・クヴァンゲル夫妻のもとに、最愛の息子が戦死したとの報が届く。

 

事件

2人が悲しみに暮れている頃、アパートの住人である老婦人ローゼンタールの家に泥棒が入る。彼女はユダヤ人であり、郵便配達員のエファは彼女にこっそり食べ物などを運んでいた。しかしその泥棒の1人がエファの夫だった。エファはそれを知らなかった。

ローゼンタール婦人はアンナたちに匿われ、その後、同じアパートに住むフロム判事に一晩匿われる。しかし自宅に帰りたかったローゼンタールは、フロムの知らぬ間に自宅に戻り、そこで居合わせたゲシュタポのエッシャリ匕警部に捕まってしまう。

 

ローゼンタール婦人はエッシャリ警部の一瞬のスキをついて、アパートの窓から飛び降りて自殺する。

ささやかな抵抗

オットーは雑誌に載っているヒトラーの写真を眺めながら、その下に書いてあるFührer(総統)をLügner(嘘つき)とペンで書き換える。

 

 

次にオットーは葉書に「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」と書いて、誰もが出入りできるビルの階段にそっと置く。

 

 

オットーは身元がバレないように手袋をはめて、筆跡を替え、毎日のように葉書を書き、色々な場所に置いていった。そしていつもアンナも一緒に行動していた。

 

 

「戦争マシンを止めろ」

「ヒトラーの影は悪魔のごとく欧州を覆う。このカードを回せ」

「ヒトラー政権では暴力が正義に勝る、加担するな」

などと書かれた葉書が129枚警察に届けられた頃は、もう冬になっていた。

 

文章と、いままで置かれた場所の統計から、葉書をばら撒いている人物はアレクサンダー広場付近に住み、息子を戦争で亡くし、機械に関係しているところまでをエッシャリ匕警部は突き止める。

そして帽子越しではあるが、目撃者の証言で似顔絵も作成される。

エッシャリ匕警部の苦悩

たまたま葉書をもっていたエファの夫が捕まる。エファとは離婚していたが息子2人が存命していたことを確認し、エッシャリ匕警部は彼を釈放する。

しかし親衛隊大佐のプラルはエッシャリ匕警部の生ぬるい捜査に腹を立て、「2日以内にエファの夫を処分しろ!」と言ってエッシャリ匕警部の顔を何発も殴る。


犯人ではないとわかっていながらも、自分の身も危険に感じたエッシャリ匕警部はエファの夫を見つけ出し、銃殺する。

 

しかしそれでも葉書は届き、エッシャリ匕警部は苦悩する。

結末

オットーは自分の工場でうっかり葉書を落としてしまい、それが原因で捕まってしまう。アンナも同じく拘束される。

オットーは自分が罪を認める代わりにアンナを釈放してほしいと懇願するが、叶わなかった。

オットーはプラル大佐らに拷問を受け、その後、裁判にかけられる。

 

 

エッシャリ匕警部は「私にできることは?」と聞く。

オットーは「紙とペンを…   あと、お前は妻を逮捕したな!」と彼を睨んで、死刑台へ連れて行かれる。

 

そしてオットーと同じく、アンナも斬首される。

 

エッシャリ匕警部は警察に届いた267枚(18枚分は警察には届けられなかった)の葉書を警察のあるビルからばら撒き、拳銃で自殺する。

 

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「ヒトラーへの285枚の葉書」感想

こういうテイストの作品はもれなくバッドエンドが待っています。ドイツ人であってもこのような抵抗をする者を描いた映画は、2005年公開のドイツ映画「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」がありました。

白いバラ抵抗運動のメンバーの一人で、国家反逆罪により21歳で処刑されたゾフィー・ショルの生涯を描いた作品でした。

 

このような抵抗は表に出ている以上にもっとあるのだと思うと、 人間のしでかした恐ろしさと虚しさでいっぱいになります。

 

 

この作品を見て、「この時代に産まれなくてよかったな」とか「かわいそうだな」などと安易に考えてしまうかもしれません。

しかしこの2人の夫婦、そしてゲシュタポに身を置きながらもナチスの体制に疑問を持ち、同じように葉書をばら撒いた警部、そして僅かな抵抗でも、消えてしまう命でも、それは崇高なんだと心に感じながら見てほしい作品です。

 

 

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