「紙の月」あらすじとネタバレ 宮沢りえの圧倒的な演技力と透明感

サスペンス(邦画)

宮沢りえが銀行の金を若い男と遊ぶために横領する主婦を演じます。

各映画賞を総なめにした角田光代原作のサスペンス映画です。

 

「紙の月」作品紹介

監督:吉田大八

脚本:早船歌江子

原作:角田光代

制作:池田史嗣 / 石田聡子 / 明石直弓

出演:宮沢りえ / 池松壮亮 / 大島優子 / 小林聡美 他

公開:2014年11月15日

 

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「紙の月」あらすじ

結婚後、なかなか子供に恵まれなかった梅澤梨花(宮沢りえ)は結婚前に勤めていたカード会社の経験を活かし、わかば銀行でのパートを始める。

 

4年後、契約社員になった梨花は顧客である平林孝三という老人の自宅で言い寄られる。そこに孫の光太が入ってきたために事なきを得る。

 

何の不自由なく暮らしていた梨花はそれなりに幸せだった。夫の正文もやさしかったが、梨花が契約社員になったことをお小遣い稼ぎ程度にしか思っておらず、梨花は窮屈さを感じていた。

 

 

同僚行員の送別会の帰り道、駅で光太と再会する。その日は挨拶だけで終わったが、車内の離れた場所から光太に見つめられ、それが気になる梨花。

 

ある日、顧客の名護たま江の預金を預かり銀行へ帰る途中、デパートの化粧品売り場で4万円以上する買い物をする。手元に3万円寂しかなかった梨花は、名護たま江から預かった預金から1万円を抜き出して会計をする。

その後、自分の口座からお金をおろし、1万円を元に戻す。

 

帰宅途中の駅で、反対車線のホームに立つ光太を見つける梨花。夫が出張中だった梨花は反対側のホームに向かい、光太と一緒に電車に乗る。

そして2人はラブホテルへ入っていった・・・

 

 

その後、今まで質素な生活を心がけていた梨花は、自分の給料を洋服や化粧品などに使いようになっていく。

夫の正文が2年間、上海へ転勤することになる。梨花と一緒に行くつもりだった正文に「私はここでやることがあるから」と言って、上海での暮らしを断る。

 

そして光太とは、それ以降も度々、密会を重ねていく。

 

 

ある日、平林孝三から、孫の光太に多額の借金があることを聞いた梨花。光太は大学の学費でサラ金から150万円借りていた。光太が困っているにも関わらず、援助しようとしない幸三の冷たい態度を見た梨花は、国債を買うために幸三から預かっていた200万円を着服する。

その200万円を光太に渡す梨花。「2年で返してくれたらいいから」という梨花に対して、初めは遠慮し「僕達の関係が変わらない?」と心配する光太。

「何も変わらないよ」と優しく言う梨花にホッとした様子を見せて、200万円を受け取る。

 

名護たま江から着物を買いたいと電話があり、翌日300万円を持って自宅にいくと、名護たま江はそのことを覚えていなかった。少しボケ始めていたたま江から口座に戻しておいてくれと頼まれた梨花は、新規に自分の口座を作り、そこに300万円を預金する。

 

梨花は光太に時計を買ってやり、ホテルのスイートルームに泊まり、優雅な時間を過ごす。

 

そのころから他人のお金を着服することに躊躇しなくなっていた梨花は、資産家の夫婦からも頭金200万円の5年定額預金を契約させて、そのお金を着服。定期預金証書を自ら偽造して夫婦に渡す。

 

梨花は光太に新しいマンションの一室を貸してやり、大学のレポート制作のために高級PCも買い与える。

 

そんな時、先輩行員の隅より子( 小林聡美)が、銀行に預けてあるはずの平林孝三の200万円の証書が無くなっていることに気づき、彼女のことを調べ始める・・・

 

 

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「紙の月」感想

 

何と言っても。宮沢えりさんの演技に圧倒されます。野田秀樹さんや蜷川幸雄さんの舞台に多く出演し、実力十分でしたが、ふたを開けてみれば、その年の各映画賞の最優秀主演女優賞をほぼ独占しました。

 

原作には登場していない相川恵子(大島優子さん)と隅より子 ( 小林聡美さん)の存在も、面白かったところです。

 

ここからは少しネタバレになりますが、この話の本質は「誰のために横領したのか・・」だと思います。

 

最初、銀行の次長にバレそうになりますが、次長と不倫していることを相川から聞いていた梨花は、その不倫のことを持ち出して「ありがちなことだから」と話していた相川の言葉をそのまま次長に返します。

 

それで助かった梨花ですが、相川は同時に交際していたお金持ちの男性とその後すぐに結婚して銀行を辞めたことを他の行員から聞きます。

それを聞いて梨花は「ありがち・・・」とつぶやきます。

 

そして隅より子(名前に悪意がある?)は厳しすぎるベテラン行員で、彼女の存在は支店長や次長から嫌がられていました。

そんな彼女の調べで横領が発覚します。

 

 

 

銀行の一室で彼女は梨花に言います。「あなたのことを考えていた。何千万も横領して何に使ったのか?もし私だったら何に使うのか?・・・徹夜することしか思いつかなかった」と。

 

 

梨花は銀行の窓を割って、逃げようとします。

その手をつかむ隅より子に「一緒に行きますか?」と言います。

 

 

次のシーンでは梨花だけが走っています。

ということは隅より子は手を離したということです。

 

 

梨花は他人が困っていたら、どんなことをしてでも相手に答えてしまう、どうしようもない女性です。そして自分のやっていることはいけないことで、自分がまるで「偽物」なのだということもわかっていました。だから逆に自由を感じていたのでしょう。

 

光太との仲もいずれは終わる・・・この横領もいつかばれる・・・

 

 

その予感通り、光太は女友達とデキてしまい、横領もバレます。

でも逃げます・・・

 

 

自由だからでしょうか?それによって騙された人たちの心は壊れるのに・・

 

でも、そんな役なのに透明感を醸し出す宮沢りえさんです。

 

 

そんな宮沢りえ演じる梨花の、良くも悪くも純粋な表情が、別の支店に異動されられそうになっていた隅より子の心にほんのちょっと引っかかったのかもしれません。

「梨花のように生きられたら、もしかしたら、徹夜以外の面白い使いみちを思いつくかもしれない・・・」

 

なんて思ったかもしれません。

 

そう思うと、意外に悪い評価が多いこの作品ですが、原作にいないこの2人(相川恵子と隅より子)を入れたのは正解だったかもしれません。

 

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